ふたご座
顔の深みと視線の置きどころ
こちらは4月12日週の占いです。4月19日週の占いは諸事情により公開を遅らせていただきます。申し訳ございません。
倫理は必ずや想像力の働きを求める
今週のふたご座は、「自殺とは想像力の断絶である」という言葉のごとし。あるいは、想像力を閉ざさず、開いていこうとするような星回り。
冒頭の言葉は、前後の文脈は忘れてしまったのですが、中学3年の時に国語の先生が授業中に発した言葉で、以降ずっと頭のすみにあるのですが、それと似たことを19世紀アメリカの哲学者ジョサイア・ロイスは次のように述べていました。
「あなたは、(あなたの隣人の)考えや気持ちをあなた自身のそれとはいささか異なったものとみなしている。あなたは言う。『隣人の痛みは私の痛みとは異なっており、私の痛みに比べればはるかに耐えるのが容易なのです』と。あなたの目に映る隣人は、あなたほど生き生きとした存在ではない。…ぼんやりとそして何も考えず、隣人のことを分からぬまま見ようともせず、ともに生きている。あなたは、(隣人を)自我をまったくもたぬひとつの物となしている。」
これがつまり、想像力の断絶ということであり、その意味で私たちは緩慢な自殺のさなかにあるのかも知れません。ではなぜ、そうして私たちは想像力を閉ざしてしまうのか。多くの倫理学者は、それは自己中心的であるからだと言いますが、おそらくもっと直接的な言い方をすれば、隣人の、恋人の、親の、本当の気持ちを知ることが怖いからでしょう。
12日にふたご座から数えて「社会への望み」を意味する11番目のおひつじ座で新月を迎えていく今週のあなたもまた、他人も人であると単に口にするだけでなく、腹の底から理解していくということがいかに困難で、だからこそ大切なことであるかを、改めて実感していくことになるはず。
倫理的に生きるとは、いい表情を取り戻すこと
例えば、今も昔も人間が星々に心動かされるのは、ただ明確な輪郭をもった星座図像としての星々を認識したから訳ではなくて、おのおのの星の連なりがまたたきと共に揺らめいている様を眺めていく中で、これまで見えなかったものが見えてくる気がしてくるからではないでしょうか。
うすうす気付いていたことや自然と浮かび上がってきたり、遠い記憶と近くの感情が、結びついていったり。そうして、意識と無意識の境界線で心を遊ばせていくなかで、人は目先の対象を超えて想像力を開かせ、あるいは倫理を取り戻し、結果的に自然といい表情になっていくのです。
逆に言えば、想像力が閉ざされたままの人の顔というのは、笑顔を浮かべていてもどこか張りついたような笑顔になりますし、どうしても近視眼的(寄り目)になって目の光も次第に死んでいくものです。
今週のふたご座もまた、そんな古来からのスターゲイザー(星を見つめる者)のごとく、現実の境界線をたゆたいながら過ごしていきたいところです。
今週のキーワード
たまには遠くを見つめよう