ふたご座
やがて不可解
※2021年1月4日~1月10日の占いは休載とさせていただきます。(2021年1月3日 追記)
手毬唄の魔術
今週のふたご座は、「手毬唄かなしきことをうつくしく」(高浜虚子)という句のごとし。あるいは、きれいはきたないきたないはきれいを地でいくような星回り。
昭和14年の作。作者が実際に見た毬突きはおそらくゴムまりを用いたもので、正月とは限らなかったはずですが、俳句の上では手毬は正月の遊び。
歌にあわせて毬をつく。はじめは覚えたての歌が口にのぼるが、次第に毬に追いつかなくなる。そんなとき口をついて出るのは、身体に染みついた声や音、それから普段は誰にも言えない秘密のことば。
ぽん、ぽん、ぽん。何度もついているうちに、うれしいことはかなしげに、かなしいことはうつくしく、すさまじいことをそれとなく、猫が背を丸めるように変えていけるのも、手毬唄の魔術と言えるかも知れません。
遊ぶ子どもの無邪気さは、いわばひとつの宇宙であり、ゆえに不可解な神秘を軸に回っているのです。
30日にふたご座から「生への愛着」を意味する2番目のかに座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、どこか死の側から生を愛でていくような感覚を改めて思い出していくことができるはずです。
「進化」などやめてしまおう
ダーウィンの進化論によれば、われわれは単純なものからだんだん複雑で多様な生命が現れてきたことになっています。そして、ともすれば私たちもレゴで遊ぶ時、まず単純な部品を幾つか作って、それらを組み合わせて順次複雑で大きな造形物を設計していくように、進化といえばつい複雑化の方向性で考えてしまうことに慣れています。
しかし、果たして進化というのは本当にそうした方向性にのみ起こるものなのか?それは複雑で高度というより、たんにグロテスクで奇妙な事態とも考えられるのではないか?ということが今のふたご座の焦点となってくるはず。
より複雑に、高度にシステム化していくような進化ではなくて、より素朴で、ぽけっとしたものへ簡素化していくような方向での進化もあるのではないか。あるいは、もはや進化などやめてしまうような原点回帰が、結果的に自分たちが心から必要としているそのものだった、ということもあるのではないでしょうか。
例えば、路地でなにげなく手毬をつく少女が人としての理想形であること。そんな可能性を、この年末年始に模索してみるといいでしょう。
今週のキーワード
ぽん、ぽん、ぽん、ぽん、ぽん、ぽん…