ふたご座
水が湧く感覚
出会いの場所としての声
今週のふたご座は、涸れ川の下に静かに堆積している水のよう。すなわち、真心のはいった<音>を取り戻していくような星回り。
お葬式の席では、死んだ人の悪口を言ってはいけないなどとよく言うが、それは五感のうち最後まで残るのが聴覚だからであり、たとえ意識や生命活動が失われていようとも、こちらの声の波長が伝わってしまうこともあるのだ。
考えてみれば、人間は日頃から聴覚を基底に生きているのかも知れない。私たちは朝、窓の外から聞こえる鳥のさえずりや通行人の話し声、車の音などとともに目覚め、日中は街の喧噪の中で活動し、夜になれば無性に誰か人の声が聞きたくなってスマホに手を伸ばす。
そして、そこでの<音>というのは、聞こうとして初めて深く感じとれるものであり、いくらスマホの音量を大きくしたとしても、こちらの心が相手の波長に合っていなければ、大切なことは何も聞こえてきやしないのだ。
旧約聖書において、いにしえのユダヤの詩人は「人の口の言葉は深い水のようだ、知恵の泉は、わいて流れる川である。」(箴言18章4)と歌ったが、そうした体験は真に心を傾けたいと思える対象をじっと心待ちにしたことのある者でなければ不可能なのだと言える。そう、さながら涸れた川のように。
15日にふたご座から数えて「欠乏と暗闇の感覚」を意味する8番目のやぎ座で、下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、欠けていく月とともに今の自分には何が不足しているのか、心を傾けるべきはどこなのか、次第に研ぎ澄まされていくことだろう。
自分の弱点に命名する
今週のテーマは、自分や身近な相手の急所や弱点を対象化すること、という風にも言えるが、それにはやはり自分の弱点から始めていくのが大切だろう(これが逆だと、どんなに愛情があっても諍いや争いの種になりかねないので)。自分の弱点や気にしていることをデフォルメして名前を付けてみるのだ。
例えば、お金のことばっかり気にしてしまう自分が嫌ならば、あえてそんな自分を「マネーの虎」とか「財布バカ」とでも名付けておけばいい(とにかく分かりやすさが大切)。
というのも、そうして自分の弱点や欠点に名前を付けるのは、身近な人やパートナーに認識し<音>にして呼んでもらうことが目的だから。そうして自分の穴や弱みについて言及しやすい状況を作っていくことで、「じゃあ僕がこちらの穴を埋めますので、あなたはこの部分を埋めてもらえますか」という関係が成り立ちやすくなっていく訳です。
いずれにせよ、自分の弱点を対象化するには、まず自分の穴をさらけ出す勇気と、欠点を欠点のまま抱えて生きる開き直りが必要。ぜひお試しあれ。
今週のキーワード
心の波長合わせ