ふたご座
穴遊び
「死後」の解釈
今週のふたご座は、「わが死後に無花果を食ふ男ゐて」(下村槐太)という句のごとし。あるいは、自らの心底を覗き込みつつ異空間を行き来していこうとするような星回り。
「わが死後に」の解釈次第で浮かんでくる風景がまるで異なってきてしまう一句。
はじめに読んだ時、この冒頭の言葉を「自分が死んだ後のこの世に」という意味として受け取って、自分のいなくなった世界で無花果を食う男とそれを詠んでいる現在の自分とのある種の無関係な関係が詠まれたシュールな句だと思ったのです。
ところがその後、同じ作者の別の句を見ていると、どうも「死後の世界」の意味で「死後」という言葉が使われていることが分かりました。それに伴い、掲句への解釈も変わっていきました。
たまたま作者に見つかって詠まれただけの無関係な「男」だと思っていた相手が、そこで作者を通じてグッとこちらの内面にまで引き込まれたように感じられ、なんだか男の“実在”がよりなまなましく感じられたのです。
2月2日(火)にふたご座から数えて「魂の救い」を意味する12番目のおうし座で上弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、これを見失ったらダメだなと感じるある種の命綱的な関係や存在に改めて思いを寄せていきたいところです。
穴観ふたつ
どんな人の心の底も、覗いてみればぽっかりと穴が空いている。そんなことを言っていた人がいましたが、穴に落ちた人物として世界的に最も有名になったのは『不思議の国のアリス』でしょう。
一方で、日本のおとぎ話にも『おむすびころりん』という、穴に落ちてしまうお爺さんのお話があります。ただし、どうも両者には穴に落ちた者の心持ちの部分で、明確な違いがあるようです。
アリスは少女ということもあってか、穴に落ちたこと自体に動転し、本能的に「ヤバいぞ」と思っている節があるのに対して、お爺さんの方はと言うと、のんきにねずみ達のついたお餅やご馳走を食べていたりと、なんというか、この世のあれこれをほとんど気にかけてない様子なんです。
ひるがえって、穴に落ちたのがもしあなたならば一体どうだろうか?
今週は、穴に落ちたところで開き直って状況を遊んでしまえるかどうかが問われていくように思います。
今週のキーワード
冥界下り