ふたご座
似て非なるもの
ズレによって対象は再発見される
今週のふたご座は、「風景異化」と呼ばれる現象のごとし。あるいは、かくれんぼの鬼のようにいつの間にか見失っていた自分の一部を見つけ出していくような星回り。
「異化」とは普段あたり前のように接している日常的な事物を、非日常的で奇異なものとして表現するための手法であり、知覚の「自動化」を避けるために相対化する効果を狙って行われるものですが、ランドスケープアーティストのハナムラチカヒロはこうした手法が風景において起きていく一連の現象を「風景異化」と名付けています。
「例えば最も強烈な変化に災害のようなものがある。自分が住んでいた街が津波に飲み込まれて一瞬にして変わってしまう。あるいは毎日見ていた山が数千年ぶりに噴火して様相が一変する。そんな強い変化がもたらされた時には、その場所と自分との関係が大きく変わってしまう、」(『まなざしのデザイン』)
いつの間にか対象と同化して、ゼロになっていた対象との距離が、何かの拍子に変化して同じ対象がこれまでとは異なる距離感からもう一度意識に浮上してくる。
ただそれは必ずしも先の例のように対象そのものの変化によって引き起こされる訳ではなく、トリックアートのようになんらかの刺激が加えられることで、対象そのものは変わっていなくてもこちらのまなざし方が変わって認識にズレが起きていくことだってあるんです。
そういう意味では、17日にふたご座から数えて8番目のやぎ座で満月が起きていく今週は、あなたの身においてもとりわけ見慣れたはずの親しい他者への認識が変わって、これまでとは何かが決定的に違ったように映ってくるはず。
自分への問いかけ
同書から再度引用すれば、「人が最も関心を持って眺めるのは人」なのだということを改めて思い出していくことになるかも知れません。。
自分でも気づかないうちに親や社会やパートナーに託され、既に共有している自覚さえなくなって、もはや自分でもそれを追うのが当たり前になっていた“夢”…。
そういうものに心当たりはないでしょうか?
もしすぐに思い当たる節がなくても、覚えておいてほしいのは、「長いあいだ夢を見過ぎると、その夢にかならず復讐される」ということ。長いこと雲の中を進むことになった飛行機乗りは、雲が道を覆い隠し、自分を外へ出られないようにしているという事実にどこかで気付かねばなりません。
ただし、そうした復讐をしかと受けとめた上で、それでもなおと顔をあげ先を見据える者は、夢のその先へと進んでいくことができます。
今週のあなたは、自然と「自分の人生を生きるのは誰か?」ということを改めてみずからに問いかけていくことになるでしょう。それが自分を見つけるということでもあるのです。
今週のキーワード
自分自身とのかくれんぼ