ふたご座
夢を見る邪魔をしない
自己暗示と言葉の力
今週のふたご座は、「追憶のぜひもなきわれ春の鳥」(太宰治)という句のごとし。あるいは、頭空っぽのほうが夢詰め込めると嘯いていくような星回り。
春の光のもとでの明るいさえずりを聞きながら、過去を振り返ってみているけれど、思い出すべきことは何もないと、そういささか自嘲気味に詠っているのは太宰治。
彼にもそういう時期があったのだと思うと少し安心はするけれど、一方で果たして本当にそうだったのかどうかは結局本人にしか分からないとも思う。
現在の明と過去の暗との明確な対比のなかで、何かリズムを作り出していこうという試みだったのかも知れないし、いっそ何もないところから始めたほうが楽だったのかも知れない。
いずれにせよ、その後の彼の活躍を考えれば、ある種の自己暗示のように発破をかけてみせた効果はあったのではないか。空元気と言われればそれまでだが、やはり言葉の力を信じていた彼だからこその重みも感じられる。
今週のあなたもまた、5日の新月にかこつけて、自身の道行きをできるだけ等身大の言葉で寿いでみるといいだろう。
痕跡を消す
人生がどうせ夢なのだとしたら、過去の夢などあっさり消して、気持ちよく新しい夢を見ていきたいものです。
これは言い換えれば、「最終コーナーを曲がって、見事なラストスパートを仕掛けていくとき、騎手は何を心がけるべきなのか?」といったことと通底しているかも知れません。
以前どこかで読んだ騎手のインタビューでは、心掛けるべきは「自分のムチ入れで馬の力を引き出す!」のではなくて、「できるだけ馬の邪魔をしない」という話をされていたのが印象的でした。
つまり、できるだけ意識が介在しなくても回っていくように、夢との関係性を調整していくこと。そして過去の自分の痕跡をできるだけ消していくことで、無意識の力を引き出していく。そんなことを、今週は考えてみるといいでしょう。
今週のキーワード
夢に任せる