ふたご座
言葉からずらしていく
既知を整える
今週のふたご座は、「知つてゐる言葉で書けばすすきかな」(堀下翔)という句のごとし。あるいは、「ちょっ待てよ」と目の前の現実をいったん静止させ、改めてじっと見つめていくような星回り。
知っている言葉で書けば「すすき」なんだけど、そうじゃない言葉がある気がする、いやあるはずだ、ということでしょうか。
どこか颯爽としていながらも、寂しいような美しいようなその佇まいが日本人の郷愁を刺激してくれる「すすき」だけれど、今の自分にとってもはやそれは別の何かであってもいいし、そもそもそういう別の何かというものが確かに在るはずだという確信がなければ、こういう句はなかなか出てこない。
作者には他に「何回もすゝきの前で写真撮る」という句もあって、特別かっこいい句ではないけれど、すすきという風景がすっかり肌に染みついているのかなという感じがします。
もしかすると「山と言えば川」みたいな一種の符合のように、作者には何かと言うと「すすきかな」と連想したり収斂させたりする癖のようなものがあって、掲句ではそれをずらそうとしているのかも知れない。
今週のふたご座のあなたもまた、既知の自分から未知の何かへと少しでもずらしていくことがテーマとなっていくでしょう。
余白を取り戻す
水曜日のカンパネラに『ディアブロ』という風呂の曲があります。
親愛なる風呂に、迷宮を探索して悪魔を倒していくあの懐かしのゲームシリーズ『ディアブロ』をかけている訳ですが、そんなハイセンスかつくだらない言葉遊びが特徴の歌詞の中でも、特に興味深い一節があります。
「デビル デーモン サタンにルシファー 畑になってるアルファルファ
風呂に入れば誰でも昇天 念を押すけどあくまで昇天」
デビル、デーモン、サタンにルシファー。すなわち悪魔や魔王、堕天使などの単語が並んでいます。風呂に入れば、そうした救いがたいように思える存在でさえも昇天して、救われていく。ついでに「あくまで」と「悪魔で」をかけて、昇天していくのです。
このあたり、『千と千尋の神隠し』でも体中ドロドロで臭気を放つ「お腐れ様」がお風呂に入って満面の笑顔をたたえた老人の顔になるシーンなども連想されますね。
あの場合は、元は「名のある川の神」だったのが、心ない人間が捨てた廃自転車や釣り糸などを捨てていったことで、ゴミやヘドロで汚れきってしまっていたのでした。
今週は、そうした汚れやこりや癖みたいなものを綺麗さっぱりそぎ落として、心身に余白を取り戻していきましょう。
今週のキーワード
親愛なる風呂