やぎ座
歩みの自然体
初々しさを取り戻すための一歩を
今週のやぎ座は、『歩みつつ歩幅を探す春の馬』(林亮)という句のごとし。あるいは、幾つになっても初々しさを忘れずに過ごしていこうとするような星回り。
冬は小屋や厩舎に閉じ込められていた馬が、あたたかな日差しを浴びながら、一歩一歩たしかめるように歩いていく―そんな光景が目に浮かぶ一句。
こういう初々しい馬の姿は、他の季節にはまず見られない。それもこれも春という季節がもつ明るさと、普段は颯爽と力強く駆け抜けていく馬がほんの一瞬見せてくれた弱さとが、「歩幅を探す」という措辞を通してパッと結びついたことで生まれた効果と言える。こういう春を、人はその一生を通じて何度迎えることができるのだろうか。
おそらく、年を取れば取るほど、それは難しくなっていく。なぜなら私たちは自分の人生をすでに完成したものと思いたがり、成長を終えた存在として見なしたがるところがあるから。けれど、そうではないのだ、自分はじつは未熟で、満足して終えるまでにはまだまだこんなに手を入れる余地が残っているのだ、と勇気を出して言えたとき。あるいは、白紙に戻す一歩を踏み出せたとき、私たちは掲句の「春の馬」となって、再び初々しい春を迎えていくことができるのではないか。
2月29日にやぎ座から数えて「試行錯誤」を意味する3番目のうお座で土星と太陽と水星の3つの惑星が重なっていく今週のあなたもまた、再出発への一歩を踏み出していくべし。
馬はみずから走るのか、おのずから走るようになっていくのか
先の「歩みつつ歩幅を探す」などということは、それが背伸びしたものでなく、ごく「自然体」でなければ意味はありませんが、この「自」という言葉には次の2つの意味が含まれています。
①みずから:自発的に、自分の意志で
②おのずから:自然発生的に、ひとりでに
これは、端的に①自発性と②内発性と言い換えてもいいかも知れません。自発性というのは、結局、「そうすることでメリット(報酬)があるから」行われる際の原動力となっているもので、内発性は、そういう損得勘定のレベルでの自分の為というところを越えたところで、内側からつぎつぎと湧いて出て来るもののことです。
ただし、ここで言いたいのは内発的であることがよいことで、自発的であるのが悪いこと、ということではなくて。つねに両者が綱引きしあいながら、みずからとおのずからの「あわい」のところでこそ、生命力はのびのびとしていくということ。今週のやぎ座もまた、どうか自然体をご大切に。
やぎ座の今週のキーワード
生き様が内発的であること