やぎ座
普通の下の闇
憑き物外し
今週のやぎ座は、思ってもみなかった部位で感じてしまったことに戸惑う男性のごとし。あるいは、「普通」の輪郭線をすっと跨いでいこうとするような星回り。
あるセラピストの女性の話によれば、マスコミ情報にがんじらがめになっていたり、固定観念のようにこびりついた幻想に振り回されて、自分の性にきちんと向き合えている男性、少なくともそうした考えを持てている男性は少ないそうです。
男性は、女性は、と頭の中で考えていることに囚われて、どうしても類型的なパターンの中で、つまり他人との比較のなかで自分を捉えようとしてしまうわけですが、それは結局のところ、自分で自分に呪縛をかけることに他ならず、しかし性というのは単なる生理をはみだしているもので、大抵はそうしたパターンなんかにはおさまらないんです。
だから、どうしても自分の性ということに向き合っていくためには、固定観念から感覚をほどいていくというプロセスが必要になりますし、しかしそれは「普通」のひとが一番怖がっていることでもあるのではないでしょうか。
同様に、19日にやぎ座から数えて「個の輪郭」を意味する6番目の星座であるふたご座で満月を迎えていくところから始まった今週のあなたもまた、受け身に徹していくことで、ある種の憑き物が外れていくことがあるかも知れません。
能面の下の運命
ほとんどが死んだ人の話を扱い、冥界から訪れてくる者を演じる能のお面というのは、人間のなかの影の部分というか、「闇の分け前」みたいなものを表に出すためのある種の戦略であって、考えれば考えるほど、演劇というものは大体そういうものなのではないかという気がしてきます。
つまり、「運命」という名前でしか言いようのないものを可視化していく上で、人間の正の部分を正の部分として出していくのではどうしても足りなくなってくる。この世界をひっくり返してやろうとか、そう思いながら闇の中でうごめいていく主体の芽生えみたいなものがお面を通して打ち出されていくのでなければ話が済まないのです。
人の心の負の部分というのは、お面の下の陰のなかでこそ育ち、打ち出されていくもの。今週のやぎ座もまた、自分の中にまだ残っている闇や、自分がなぜだか共感してしまう人間精神の負の側面にこそ焦点を置いてみるといいでしょう。
やぎ座の今週のキーワード
うさんくさく否定されるべきものをこそ大切にする