やぎ座
必要な言葉と沈黙
自分で自分を癒すこと
今週のやぎ座は、「夏痩せて嫌ひなものは嫌ひなり」(三橋鷹女)という句のごとし。あるいは、心の底からの本音を引き出していくような星回り。
ふつう、言いたいことがあったとしても、なかなかこうは言い切れないものです。ときに、作者37歳のときの句。とはいえ1930年代の37歳ですから、それはもう甘えたりすねたりといった態度を世の中に見せていい歳ではありませんでした。
そうすると、ここで作者が「嫌ひ」とあえて言い切っているのは、「女は〇〇すべき」とか「もういい歳なんだから××はするべきではない」といった、他者からの無責任な忠告だったり、忠告という口実を利用したコントロールであるだけでなく、そうした忠告やコントロールに自分から従いにいこうとしてしまう心の動きに対してでもあるのではないでしょうか。
つまり、この句は他者に向けられたものであると同時に、自分にも向けられているのであって、単に無茶を言ってそれを押し通そうとしている訳ではなく、どんな人間の心の奥にも潜んでいるものをあっけらかんとさらして見せてくれているのだと言えます。
10日にやぎ座から数えて「セルフケア」を意味する6番目のふたご座で新月を迎えていく今週のあなたもまた、いまの自分に必要な言葉を自分で自分に与えていくことを意識してみるべし。
自分だけの「洞」を持つ
7世紀の役小角(えんのおづぬ)を開祖とする修験道には、深山の奥深く、霊気の集まる洞(ほら)へ入って修行をし、呪力を身につけることで苦しみから救済され、また自分だけでなく民衆をも救済していくことができるという考え方があります。
今週のやぎ座は、いわば、ごく普通の日常にとどまりながら、心だけはその中へと入れることのできる「洞」を見つけ、そこでスッと心を澄ましていくことがテーマなのだとも言えるかも知れません(三橋鷹女にとって俳句がそうであったように)。
たとえば、15分くらいでもいいので、毎日決まった時間のあいだ雑音のないできるだけ静かに場所に座り、自分を「洞」にいるものとしてただ沈黙してみるのもいいでしょう。
その際、目を完全につぶってしまうと寝てしまうので、半分開けて半分閉じた薄目状態を保つのがコツ。座っているあいだは、できるだけ何も考えないこと。そして、それ以外の時間帯はこれまでどおり雑念にまみれるままに過ごしていく。
そうして胸のうちに小さな沈黙を秘めるということを繰り返していくと、やがて目を閉じた先に確かな「洞」が広がっていくのです。今週は、自分なりの言葉が出てくる前には、それと同等かそれ以上の沈黙が必要なのだということをよくよく胸に刻んでいきましょう。
今週のキーワード
自分ひとりの部屋(ヴァージニア・ウルフ)