やぎ座
運命と岐路
夢に描いた相手
今週のやぎ座は、「恋猫に颯(さ)とたてがみのやうなもの」(いのうえかつこ)という句のごとし。あるいは、どこか誰かに自分だけが分かる“特別なしるし”を見出していくような星回り。
春は猫にとって求愛の季節であり、掲句はそんな春の風物詩を描いてみせた一句。「たてがみ」は馬の背にあって、走るとなびいて馬の美しさを際立たせるものですが、それに類するものが「恋猫」にはあると言うのです。
「恋猫」とは雄の猫であり、これから目当ての雌に逢いに行くのでしょう。面白いのは、作者がそれをすっかり雌猫の立場になって見ているという点。
というのも、そうではなければおそらく「たてがみのやうなもの」には気付かずに、見逃してしまっていたでしょうから。これは裏を返せば、「たてがみ」の発見は恋のなせるわざであり、こんな恋猫こそ自分の前へ現れてほしいと願うこころこそが、恋猫を登場させたのだということなのかも知れません。
得てして、自分にとって特別な相手であることを示すしるしというのは、初めて見かけたにも関わらずそれとすぐに分かるものだったりしますが、その意味で掲句は作者が春の宵のなかで夢想した特別な出逢いの情景なのだとも捉えられるのではないでしょうか。
29日にやぎ座から数えて「お約束」を意味する10番目のてんびん座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、自分に与えられていた自分への約束を不意に思い出していくことでしょう。
運命の法則
運命というと、現代では恋や愛とやたらと結び付けられるようになりましたが、古代世界において運命とは‟逃れようのない重荷”に他ならず、しばしば「運命を避けようとして行ったことが、かえって運命を呼び寄せ、さらに重くする」とパターンを伴なって繰り返し語られてきたものでした。
例えば、キリスト生誕の際に現れ、それに気付いた東方の三賢者がイエスのもとへ訪れたとされる「ベツレヘムの星」にしても、東方の三博士にとってイエスへの訪問は自分たちもヘロデ王に殺される危機と表裏であり、まさに運命に他ならなかった訳です。
その意味で今週のやぎ座もまた、誰かから不意に言われた一言や、たまたま目に飛び込んできた言葉をある種の「神託」として受けっていくことになるかも知れません。
その時、神託から目を逸らしてなかったことにするのか、それともじっとその予感の中に潜み、行動に移していくのか。それがあなたにとって岐路になっていくはずです。
今週のキーワード
アタックチャーンス!