やぎ座
新たな富のありか
絶望の先に希望はある
今週のやぎ座は、フランシスコ・ザビエルとアンジローの出逢いのごとし。あるいは。行き当たりばったりな道行きのなかで未来への希望を見出して行こうとするような星回り。
歴史学者・村井章介さんの『世界史のなかの戦国日本』という本の中で、イエズス会の宣教師フランシスコ・ザビエルが日本に向かっているとき、途中、アジア人にかなり絶望していたことが手紙から分かったという話が出てきます。
彼らはイエズス会の船団を立てて、自前で航海していた訳ではなく、当時のシナ海交易ルートで中国人の船に乗っかって移動していたのですが、彼らは途中であちこちに寄り道するし、よい託宣が得られないと航海を延期するといったことが当たり前だった訳ですが、それはザビエルたちにとって迷信深い愚かな行動としか映らなかったのでしょう。
そんな中、マラッカで初めて会ったまともなアジア人がアンジローという日本人でした。彼はとても好奇心が強く勤勉で、ポルトガル語も8カ月あまりで覚えてしまうなど才能に優れていたため、ザビエルは日本で布教することを思い立ち、そこに希望を託したのです。
これは旅先で出会った人と仲良くなって、その人の母国へ連れていってもらおうという、典型的なパックパッカーの行動そのものですね。
ただ、実はアンジローは薩摩で殺人を犯して海外へ逃げてきた人であったり、後にザビエルが薩摩を経由して京都へ旅立った際、鹿児島での布教をアンジローに委ねたにも関わらず、本人は鹿児島から姿を消して海賊になって中国で殺されていたりと、かなり危ういバランスの上で成り立った出逢いであり、たまたまよい方向へ転がったのだと言われています。
12日にやぎ座から数えて「富」を意味する2番目のみずがめ座で新月を迎えていく今週のあなたもまた、新たな財源やその可能性を見出すべく、いつもなら踏み込んでいかない領域へと足を延ばしていくことがテーマとなっていくでしょう。
フック船長とアンジロー
例えば、J・M・バリの児童小説『ピーター・パン』に出てくるフック船長にしても、海賊として戦いに臨んでいった結果、片手片足を失ってしまった訳ですが、そこで終わらずに、鉄の鉤爪など、思いきり派手な義手義足をつけることで、失った手足をむしろ“売り”にして堂々と振る舞っていくようになります。
確かに、彼はワニが怖くて仕方ないし、血を見るのも苦手になって、ケガをする以前より複雑な性格になってしまいましたが、その代わりに唯一無二の個性という新たな富を手に入れました。
とことん現実逃避にかまけてもおかしくないところを、彼は見事な仕方で強みに変え、あえて人前に出ていったことでそれを可能にした訳ですが、そんなフック船長はどうも鹿児島から消えた後のアンジローと重なるところがあるように思います。そうしたフック船長/アンジローの生き様は、今のやぎ座の人たちのとって大いに指針となっていくでしょう。
今週のキーワード
ほとんどバックパッカー