やぎ座
秋の寝覚めとブレイクスルー
「寝覚め」の解釈
今週のやぎ座は、「はるかなるもろこしまでも行くものは秋の寝覚めの心なりけり」(大弐三位)という歌のごとし。あるいは、これまで見えていなかった現実が一気に眼前に広がっていくような星回り。
「もろこし」は「唐土」、中国の大地のことですが、当時の感覚からすれば、はるかこの世の果てを指していました。
秋の目覚めは、そんな感じがするというのです。寝苦しい夏がやっと終わり、涼しくなってきた空気のなかで安らげるようになった。その軽やかさは、重い衣のような体から脱け出して魂だけとなってどこまでも行けるような心地だったのでしょうか。
そうではありません。「寝覚め」とは、眠りの途中での覚醒を指します。つまり、悶々とする物思いで寝ては覚めを繰り返し、子供や思い人のことをどこまでも求めていくような秋の夜長のしみじみとした思いのことを詠っているのです。
しかしそれも、精神世界の拡大する秋だからこそ可能となった感慨であり、孤独さを存分に深めていける季節がやっときたのだということでもあります。
17日にやぎ座から数えて「意識の破れ」を意味する9番目のおとめ座で新月を迎えていく今週のあなたもまた、不意にここしばらく感じたことのなかった感情の深まりや精神活動の活発化と直面していくことになるかも知れません。
偶然からもたらされるもの
トム・クルーズの主演の映画に『マイノリティ・リポート』という作品があります。舞台は2054年のワシントンDC、犯罪を予知できるシステムのおかげで殺人事件が存在しない平和な世界となっていました。
しかし、“完璧”な世界というものには必ず裏があるもの。不意に吹き込んできた偶然にさらされた主人公の取った行動によって、犯罪予知システムはその裏にある暗い事実が明らかとなり、最終的には解体されてしまいます。
同様に、今週のあなたもまた、どこかで自分に訪れた予感や偶然の重なり合いを単なる気のせいや一過性の出来事としてスルーしていくのか、それとも、一見平穏無事に見える生活や関係性、仕事や健康などに対する恐れや疑念をブレイクスルーして、これまで見過ごしてきた真実を受け入れ、生活や生きる姿勢そのものを改めていくか、選択していくことになるでしょう。
一見して完璧だったりスマートに見えるものほど、危うさを秘めているのだということを、今週はよくよく意識してみてください。逆に、不完全で不格好に見えるものほど、関わり方次第であなたに新しい喜びをもたらしてくれるはずです。
今週のキーワード
風の吹くまま