やぎ座
闇と業
身をもって知ること
今週のやぎ座は、心の底に沈んだ闇としずかに対話する者。おのれが人間であることの痛切な底冷えを感じて、そこから出直していくような星回り。
世の中にはおもしろ半分で人を殴りつけたり、特に理由なく誰かを貶めてはせせら笑っている程度の人間はごまんといるものです。しかも自分のことを「外道」だと思っているならまだしも、何一つ自覚がないことが大半。
しかし、極道や水商売の世界にいる人の中には、子供の頃に極貧を舐めただとか、強烈な蔑みを浴びた経験などを身のうち深くに沈めている人が多く、大抵の場合、それが絶えざる現在としてたびたび息を吹き返し、金のためなら何でもするとか、人を蹴落としてやろうといった凶悪さとして表面にせり上がってくるのです。
そういう凶悪さをただ目で見て、話しに聞くだけなら、「怖いしなくなってほしい」とか「厳しく取り締まって、重い罰を与えればいい」と思うだけでしょう。しかし、大半の人がそう思い続けている限りにおいて、人間存在の本性は畜生であり、人を修羅に変えてしまう闇に沈んだ怒りや悲しみもまた消えることはないのです。
自らの本性の一部である悪。それがどんなもので、どんな体験に基づいているのか。今週そこを見つめ返していくのも悪くないでしょう。
夢ではなく欲を見つめる
『ホンダイノベーションの神髄』という本を書かれた小林三郎さんという方が、さるパネルディスカッションで「夢と欲は違う」という趣旨の話をされたそうです。
例えば、「年収1000万稼ぎたい」「雑誌などで連載を何本も持つ売れっ子になりたい」などという話は、お前の欲だろう?そんなことに夢という言葉を使うな、と。
夢とは、個々人の枠を超え集合的なレベルで実現が望まれる理想的な光景であり、個人的な欲とは違う。また、声高に「夢」という言葉を使う人ほど、自分の思い込みや個人的願望を周囲に押し付け従わせようとしている「欲の人」なのだと。
けれど、個人的には別に欲はあってもいい、むしろないなんて方がおかしいのだと思います。ただし、自分の心の底にどんな欲が沈んでいるのかは、「夢」という言葉でごまかさず、よくよく見定めなければならない。それに尽きるでしょう。
今週のキーワード
人間存在の本性は畜生