やぎ座
星座と運命
心模様に意図(糸)を通す
今週のやぎ座は、「いつせいに春の星座となりにけり」(黒田杏子)という句のごとし。あるいは、心の中にこれというカタチを見出していくような星回り。
春はまず心に訪れます。まだ寒い最中であっても、今日から春と思えば、空の色や風の冷たさもどこか春めいて感じられてくるもの。
掲句においても、それまで見ていた冬の星座が心ひとつで「春の星座」へ変わっていくさまが詠まれています。
同時に、これは作者が90代で大往生を遂げたある女性へ贈った追悼句であり、もしかしたら無意識に夜空のなかにその姿を探していたのかも知れません。
見えてくる景色が徐々にではなく「いっせいに」変わっていくのが極東の農耕民族社会である日本の季節感であり、それは体感気温に基づいた欧米の狩猟民族社会における「season(シーズン)」とは根本的に異なるもの。
立春に続き、10日(月)にはやぎ座から数えて「変容」を意味する8番目のしし座での満月を迎えていく今週のあなたもまた、いつの間にか以前とはすっかり変わってしまった自分の心模様を再発見していくことになりそうです。
分度器の放射線
小学校の卒業アルバムなどを久しぶりに開いてみると、生まれであれ、育った環境であれ、学校の成績であれ、かつてはわずかな違いに過ぎなかったものが、時の経過とともにはかり知れないものになっていることに気が付くことがあります。
まるで分度器のように、1度の違いに過ぎなかったものが、放射状に伸びた線をどこまでもたどっていくと、それぞれまったく異なる国にたどり着いてしまうように。
もちろん自分もまたそんな放射線のひとつである訳で、傍からから見れば、それらもひとつの星座のように見えるのかも知れません。
この世で最も不思議なものは人との縁。今週はそんな感慨が不意に湧いてくることもあるでしょう。
今週のキーワード
同じ星座のクラスター