やぎ座
真の友愛
モンテーニュの場合
今週のやぎ座の星回りは、親友ラ・ボエシに対するモンテーニュのごとし。あるいは、真の意味での友愛とは何かということについて、身をもって示していくような星回り。
人間の生き方を洞察した近代フランスのモラリストの代表格であり、酸いも甘いも知りつくした人らしい、さりげない箴言が散りばめられた知恵の結晶である『エセー』の著者であるモンテーニュは、人間同士の付き合いについて次のような言葉を遺しています。
「真の友愛においては、私は友を自分の方に引き寄せるよりも、むしろ自分を友に与える」
これは若くして亡くなったモンテーニュの心の友であり、早熟の天才であったラ・ボエシとの交友を念頭においた言葉であろうと思われますが、さらに次のように続きます。
「単に彼が私を益することよりも私が彼を益することの方を好むだけでなく、彼が私よりも彼自身の方を益するようにと私は願う。彼がもっぱら彼自身によくしている時こそ、彼は最も私に益しているのである」
このような境地に至れる相手が、人生に果たして何人いるかと問えば、おそらく1人でも出会えたなら、その人は幸運でしょう。
そして、たまたまそういう存在を得られた場合でも、理由を問われればそれは「彼が彼であったから」「私が私であったから」としか答えようのないはず。
その意味で、6日(金)にやぎ座から数えて「決して得られないもの」を意味する12番目のいて座で上弦の月を迎えていく今週のあなたは、自分が理想とする関係性をどれだけ確信をもって描いていけるかが問われていきそうです。
麒麟のごとく
中国では古来より将来有望な大物が生まれると麒麟という霊獣が現れるという言い伝えがありますが、どうも現われるだけで何もしないのです。
「千尋の谷に突き落とす」とか、「キビ団子をもたせて家来を作らせる」とか、これはと見込んだ相手なら普通はするであろう実際的なことを何もしない。
ただ直接手を出すようなことは一切しない代わりに、まっすぐに見守り、あるかなきかのごとくに寄り添い、そしておそらくは祈っている。
やることはそれだけなのですが、もしかしたら真の友愛を介した付き合いというのも、本来はそうあるべきなのかもしれません。
その意味で今週のあなたもまた、「手を出す」以外の仕方で、誰かや何かに自分の存在を傾けられるかが問われてくるでしょう。
今週のキーワード
直接的に何もしないでいられる関係