やぎ座
問いかける言葉を
シニシズムとユーモアのはざま
今週のやぎ座は、「幾千代も散るは美し明日は三越」(摂津幸彦)という句のごとし。あるいは、自分の生きる社会の背後に潜って、そこから剣のごとき言葉を発していくような星回り。
すっかり平和ボケした私たちは、かつては無言でお国のために戦っていた帝国国民の成れの果てであるという事実を忘れてしまう。それもまた記憶の風化の必然であり、仕方のないことなのかなとも思うけれど、一方でそこに強い危機感を覚えずにはいられないのも確かだろう。
掲句の作者は、自分もまたそうしてかつてのお国の記憶が風化するに任せているかのような大衆の一員であるという事実に目を背けずに、シニシズムぎりぎりのユーモアをもってそんな自分たちの姿を句にして突きつけてくれているように思える。
ひるがえって、あなたはどうか。
「散るは美し」と聞いて「散華」という言葉が浮かばない類の人間であるならば、改めて掲句を作者からの冷笑と受け取るべきであろうし、そうでないならば、歴史を見失いつつある同胞たちへ向き合っていくにあたり、作者からユーモアを取り入れ方を学んでみてもいいだろう。
30日(金)にやぎ座から数えて「師からの学び」を意味する9番目のおとめ座で新月を迎えていく今週は、ならうべき先達からの教えを踏まえつつ、自身の考えや意見をまとめていくといいでしょう。
芸能者の鑑・アメノウズメ
例えば、埒があかない状況を笑いの力と機転で打開した伝説的人物として、アメノウズメが挙げられます。
神話によれば、太陽神アマテラスが天岩戸に隠れてしまい世界が闇に包まれ、様々な災いが起こってみな困り果ててしまったとき、集まった神々が一計を案じてアマテラスを見事引っ張り出した際に主役級の働きをしたのが、このアメノウズメです。
岩戸の前の宴の席では胸乳だけでなく、下半身までさらけ出して踊ってみせることで、その場に爆笑を巻き起こし、さらにアマテラスが外の様子を気にし出した頃合いを見計らって、「あなた様よりすごい神さまが現れたので、みなで喜んでいるのですよ!」と、とどめの一言を叫んだと言われています。
アマテラスからすれば、さぞかし心がざわついたことでしょう。この一連の振る舞いを即興でやってのけたと言うのですから、まさにアメノウズメこそ芸能者の鑑と言えます。
今週のあなたもまた、そんなアメノウズメさながらに、自ら火種をつくったり、あえて地雷を踏んでいくことで、「自分にとっての真の成果とは何か?」ということを改めて考えてみるのもいいでしょう。
今週のキーワード
本当の意味での社会貢献とは何か?