やぎ座
再統一と宇宙感覚
宇宙進出時代の倫理
今週のやぎ座は、「泉は心の内にある」というアウレリウスの言葉のごとし。あるいは、宇宙から切り離されてしまった自分を、あらためて宇宙につなげていくような星回り。
ついこないだの2月22日、小惑星探査機「はやぶさ2」が地球から3億km彼方にある小惑星リュウグウに着陸し、岩石採取を成功させたという報が入りました。
人類の科学の進歩は文字通り未踏の領域に達した訳ですが、その一方で、地球上の私たちが今日どれだけ宇宙的感覚を感じて生きているかというと、かなり頼りないのではないか。
そしてやぎ座のあなたは、そんな頼りなさを、今まさに他ならぬ自分自身に感じているのではないでしょうか。
それにつけて思い起こされるのは、2世紀に生きたローマ帝国の皇帝マルクス・アウレリウスのこと。ストア主義的な「宇宙国家」に基づいた国家運営を志した哲人皇帝であった彼は、著書『自省録』においてまず
「この宇宙を一なる魂をもつ一なる生きものとたえず考えよ」
と述べ、さらに次のように続けている。
「万物がどのようにして宇宙の一なる感性に帰し、宇宙はどのようにして、一なる欲求からあらゆることをなすか、また織物や巻き糸にも比すべき宇宙の連結や組織がいかなるものであるか、それらをたえず考えよ」
と。
彼にとって自分の仕事は、「あの宇宙的統一からどこかへ自分を投げ出してしまった」ことによって生じた事態を、ふたたび統一へ向けて推し進めていくべく神より与えられたものでした。
規模は違えど、そんな彼のうしろ姿は、ちょうど今のあなたのよき指針となっていくはずです。
人として行き着く先
アウレリウスが目指したのは、なにも完璧な調和に基づいた理想的な国家運営だけではありませんでした。曰く、
「内面を掘り下げよ。泉は心のうちにある。おまえがたえず掘り下げるなら、つねにほとばしる力を持ち、しかも善をなす泉が……」
とも述べており、彼が哲人として自らの内面生活、あるいは心や魂と呼ばれるものの探究をし続けていくことを強く願っていたことがよく分かるかと思います。
そうすることで、統一体の一部分として生まれた自分を大いなる循環に沿わしていくことができる、と。
シンプルではありますが、自分がどこへ向けて努力や探究を続けているのか、今週は改めて立ち止まり、確認してみるといいでしょう。
今週のキーワード
「一なる魂をもつ一なる生きもの」