かに座
自分自身とのハーモニー
「ゆつくり」の意味
今週のかに座は、「稲稔りゆつくり曇る山の国」(廣瀬直人)という句のごとし。あるいは、自分を充実させていくために、必要な動きに従っていくような星回り。
作者は山梨で生まれ、そこで暮らし、死んでいった人だ。そして一貫して生活と自然を詠んだ。掲句もそのひとつであり、その生き様は「ゆつくり」という一見地味な副詞にこそ表れているように感じられる。
一面に広がった田んぼに稔る稲の生長も「ゆつくり」ならば、空の曇り方も「ゆつくり」。この「ゆつくり」には単に「動作の遅い様子」という意味とは別に、「あわてず、落ち着いて、くつろいだ」という意味もある。
自然が、自然のまましかるべき方向性をとって、移ろっていく。その満ち足りた発酵していく時間の経過こそが、掲句の主眼なのではないか。
今週のあなたの場合、どちらの意味でもいいかもしれない。とりあえずは、ゆっくりと自分の時間を取り戻し、リラックスした状態をつくりだしていくことをいつも以上に大切に。
自然とともに歩む
『ガイアシンフォニー第四番』というドキュメンタリー映画でも紹介された“レジェンド・サーファー”ことジェリー・ロペスもまた、掲句の意味での「ゆつくり」の体現者と言えるでしょう。
「私はいつも、海の力の一部になりたいって願っています。大自然の力は決して抵抗できるものではない。 唯一の許される道は共に歩むことです。 対抗しようとすれば必ず結果は悲惨なことになる。共に歩む…そうすればどこかに道が開ける。 」
「ダンスを踊るときのように波の力の良いパートナーになるんです。サーフボードはダンスパートナー、波は音楽、その音楽に乗って共に踊る、それが私の実感です。」
「サーフィンが教えてくれるのはハーモニー、 特に自分自身とのハーモニーです。最初は、海や波などの自然と調和することを学びます。それが出来たとき、次のステップはその調和の精神を 日常生活に持ち帰ることです。」
今週は、あなたがただ存在が存在としてあることができるところで、静かに風を待ってみてください。
今週のキーワード
自然な生長