かに座
生存戦略を研ぎ澄ます
淑気の中で
2018年、最初の週のかに座は、「それぞれの星あらはるる寒さかな」(炭太祇)という句のごとし。あるいは、自分の居場所と理想を明確にしていくための、目に見えない準備が始まっていくような星回り。
シンプルな句ですが、冬の東の空から次々と昇ってくる星のきらめきを目にしていると、昼間でも襟元の毛が逆立ってくるような冷気が背筋を通り抜けていくようです。
厳しく冴えた空気の下では、一切のごまかしは通用しません。
現在いる場所は本当に自分のいるべき場所だろうか、いったい自分は何に物足りなさを感じているのか、そしてこれから向かっていくべき方向は……。
すぐにではなくても、現実と理想とのギャップの中から、実現していくべきリアリティーを掘り出していくこと。それが今のかに座のあなたのテーマであり、お正月あけの淑気(しゅくき)の中で次第に露わになって突きつけられていく現実なのでしょう。
参考事例としての粘菌
「奇怪な生物、他の星界よりきたり動植物の元となりしものなり」
というランカスター博士の言葉でも知られる粘菌は、よくよくその生態を知ってみると、憎らしいほどうまい生き方をしています。
周囲に栄養源が枯渇して飢餓状態になるとすかさず集合して多細胞の集合体をなし、細胞同士でたくみに役割分担をしながら環境を移動していくのです。
そして残りの細胞で環境に対するストレス耐性の高い胞子となって生き延び、安全になると分化するというサイクルを繰り返す。
つまり単独で生きるのでも、集団の中に融合しているのでもなく、広範なネットワークに「参加」することで生きている。
今週のあなたはそんな生き方からも、なにか腑に落ちるヒントが降りてきそうです。
今週のキーワード
星と粘菌