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かに座
ゆるゆるボンバー
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泉への下り道
今週のかに座は、『泉への道後れゆく安けさよ』(石田波郷)という句のごとし。あるいは、ここのところ見失っていたやすらぎを再発見していくような星回り。
「泉」は夏の季語。頭上には樹々が鬱蒼と茂り、涼しげな木陰と木漏れ日の強烈さとが鮮やかな対比をつくり出している。そんな中を、吟行(ぎんこう)か何かで仲間と歩いていたのでしょう。
作者は結核をわずらい、一時は死を覚悟するほど病状が悪化していたものの、そこから奇跡的に生還を果たした直後でしたから、こうして生き永らえて泉への下り道を歩いていること自体にまだ信じられない気持ちでいたのかも知れません。
そうしているうちに、仲間はみんな先に行ってしまい、作者はひとり後れてしまった。めげずに、ゆっくり、ゆっくり歩いていく。それでも、時おり息が苦しくなって立ち止まる。
それはこれまでの作者だったら信じられないことでしたが、不思議と「落伍した」とは感じない。むしろ、こうして人に後れて歩くことにも安らぎがあるということに気づかされたというのです。この後ろから歩いていく安らかさとは、おそらく人を信じる気持ちといっていいでしょう。
12日にかに座から数えて「小さな死」を意味する8番目のみずがめ座で下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、そうした「人を信じて後ろからついていく気持ち」をしみじみと味わってみるべし。
あえて隙をつくっていくこと
武道の世界ではよく「隙をつく」などと言いますが、吐く息と吸う息のあいだというのは、意識のコントロールがきかず、その一瞬だけまったくの無防備となるため、戦いにおいてはできるだけこの呼吸の隙を小さくしていかねばなりません。
ただ、そうして息を殺し、あるいは息をつめていると、つねに身構えっぱなしの状態となって、からだも意識も次第にぎこちなくなっていき、その状態にだんだん疲れてくると、今度は呼吸から弾力が失われ、いざという時の集中力が落ちたり、あるいは力の抜き方もすっかり下手になってしまう。
人は誰しも大人になれば、どうしても赤ちゃんのように無防備ではいられなくなってしまう訳ですが、今週のかに座は、そうして生育の過程で、はたまた社会に揉まれる中で失ってしまった“隙”をもういちど自身のなかに取り戻そうとしているのかも知れません。
硬い背骨を一度バラバラにして、呼吸の「呼」と「吸」のあいだがゆったりと広がっていくさまをイメージしていくといいでしょう。
かに座の今週のキーワード
「呼」と「吸」のあいだを拡げる
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