かに座
河原で踊る仏像のごとく
こちらは10月18日週の占いです。10月25日週の占いは諸事情により公開を遅らせていただきます。申し訳ございません。
河原にたゆたう
今週のかに座は、四条河原に響きわたった「声」のごとし。あるいは、いのちの通うような交流に身と時間を割いていくような星回り。
近世のはじめに当たる18世紀後半、北野神社に勢いを張る阿国のかぶき踊りに対抗して、京都の四条河原でも「女かぶき踊り」の喧噪が起こった様子が、円山応挙によって描かれています。すなわち、あでやかな小袖の重ね着や長大な銀キセル、風にのる伽羅の薫りなどをまとって、遊女や女芸人などの女性芸能者たちが、琵琶法師の打ち鳴らす三味線のリズムにのって、歌や踊りを披露していたのです。
当然、そのまわりには誘い合わせて多くの人びとや商人たちが集まり、芝居見物に会食、買い物、あいびき、喧嘩、夕涼みなど、思い思いの過ごし方でその場を楽しんでいったのでしょう。そこにはくるしい日常で削られ消耗した生命を取り戻すための、最後の手段としての声があり、集まった人びとはそれに身をまかせ、相応じて、生のことや死のことや、水のことや火のことについて想いを巡らせることができた。
「河原」とは、もともとそういう場所だったのであり、文化というのはいつの時代もそうした場所から生まれていったのです。
20日にかに座から数えて「公的領域」を意味する10番目のおひつじ座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、堂々と怪しい活動に身を投じていきたいところ。
何をその背に感じているか
「相手のために」とか「人の役に立つ」といったことが、健全な行為として成立するのは、そういう行為自体が‟たまたま”いのちの自然な発露であった場合に限られます。
そして、そういう時というのは、相手からすればこちらの背中に「仏像の光背」のような光がうっすらと差しているように見えていたり、自分でもいつもと比べて視界の明るさを感じていたりするもの。
逆に、少しでも心に魔が差していたり、魔境から抜けきらないままに自分を嘯いていれば、例え細部にまで注意を払っていようとも、それは相手のこころに重くのしかかる荷物となってしまいかねないはず。
おそらく近世の女性芸能者がそうであったように、真剣に自身のいのちの使い先を心に決めていくとき、人は愛ということを少しだけ理解するでしょう。今週のかに座もまた、少しでもそんな先行者たちにあやかっていくべし。
かに座の今週のキーワード
仏像の両性具有美