かに座
無為
こちらは9月27日週の占いです。10月4日週の占いは諸事情により公開を遅らせていただきます。申し訳ございません。
心配しなくても大丈夫ですよ
今週のかに座は、「働かぬ日は秋風の虜かな」(島谷征良)という句のごとし。あるいは、必ずしも主体的である必要もなし。
「虜」とは囚われている人の意。とはいえ、意に反して囚われているのかと言うと、必ずしもそうではなく、みずから望んで囚われていることもあるはずです。
「愛の虜」などと言う場合もそうですが、掲句の「秋風の虜」というのもまた同様でしょう。久々の休日、なにをしようかととりあえず玄関の外に出たところで、さっと吹きわたる秋風に身も心もまかせてみるのも悪くないと感じ入っていたのかも知れません。
何事も主体的かつ能動的であること、人生を自分の力と判断で切り開いていくこと、が絶対善であるかのように言われがちですが、こうした秋風にあたってみると、本当にそうだろうか、風に吹かれるまま、足が向かうままに身を任せているうちに、ひょいと峠を越えていくということだってあるのでは、と斜めに構えたくもなるというもの。
9月29日に自分自身の星座であるかに座で下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、ともすると前のめりになりがちな人生にひとつ余白をもうけるくらいのつもりで過ごしていきたいところです。
旅路は風の通り道
風は目に見えず、突如としてあらぬ方向から吹いてくるし、強くなってはなぎ、すぐに方向を変え、予測や予断を許しませんが、古代ギリシア語ではそんな風のことをプネウマと呼んでいました。普遍的な実体としての「霊」のことです。
そして西洋哲学では、そんな風や霊がよどんで情念として沈殿した状態が、個別的な魂(プシュケー)であり、自分が自分であることの中核なのだと考えてきました。
そこでは、確固とした自分を持つことだとか、どんな風にもびくともしない堅牢な教会のごとき業績を残すことが、崩れにくい「優れた個人」の見本とされてきた訳です。
そういう意味で、今週のかに座はそうした近代的な価値観とは別の、もっとゆらめいたり、しなったり、情勢に応じてどこかへ流れていってしまうような、霊の視点に寄せて自分に何もさせないでおくことがテーマなのだと言えるかも知れません。
今週のキーワード
ケンチャナヨ