かに座
終わらせるべきことは何?
「ほろび」の美学
今週のかに座は、「女陰の中に男ほろびて入りゆけり」(堀井春一郎)という句のごとし。あるいは、終わり方の美学を追求していかんとするような星回り。
日本はアマテラス、そして卑弥呼以来、女性上位の国であった。だからこそ、男たちはその立ち位置に異常なほど執着し、それがセクハラやらパワハラやらのこの国の女たちの生きづらさにも繋がってきたのかも知れない。
そうして日本の女性が「女」という十字架との戦いを強いられてきた一方で、男たちはみずからの愚かさや痛々しさを持て余し、ときどきこうした句となってかろうじて「成仏」を遂げているように思える。
「ほろびて」という一語が切ないが、これは幼少期に女性の師について俳句を始め、のちに女子大で教員を務め、四十代の若さで亡くなった作者だからこその境地だろう。
作者の句には全体的に強い私性が感じられ、両親に対しての愛憎ともいうべき思いが潜む「山百合や母には薄暮父に夜」といった句も残している。
12日にかに座から数えて「親とロールモデル」を意味する10番目のおひつじ座で火星に月が重なっていく今週のあなたもまた、何についてはもう自分の代で終わらせていく必要があるか、あらためて決意していきたいところ。
ひとり考える時間をもつこと
知らぬ間に、親を複製するような人生になってやしないか。植えつけられた他者の意志に振り回され過ぎているのではないだろうか。一度そんな疑念を抱いた者は、それを自らの手で振り切っていくための「禊ぎ」を経験していかねばなりません。親も子も同じ人間な訳で、同じようにこの地球上にはえる一本の葦のようなものであると、心の底から腑に落ちるまで。
パスカルは「人間は一本の葦であり、自然のうちでもっとも弱いものにすぎない。しかし、それは考える葦である」と言ったそうですが、実際のところ考えるだけでは何の解決にもならないし、かえってこじれるだけな気もします。
今週は、いったん独りになってとことん考える時間も必要でしょう。ただそうして気が済んだら、改めていかに自分なりに世間と交わっていくかということへ真剣に向き合っていくことになりそうです。
今週のキーワード
両親との愛憎