かに座
花と啓示
鷹女のアハ体験
今週のかに座は、「ひるがほに電流かよひゐはせぬか」(三橋鷹女)という句のごとし。あるいは、自問自答する中で違和感を確信へと変えていくような星回り。
昼顔の花弁に電流が通っていはしないだろうか、というのが句意。
たしかに鑑賞用の朝顔でも夕顔でもない、昼の強い日差しの中でも咲き続ける昼顔は、その可憐な見た目にも関わらず、どこかに「電流」という荒々しい人工的なエネルギーの気配がかすかに感じ取れる。
おそらく作者は道を歩いていて、ふと目にした昼顔の力強さに、電流に触れた時の驚きに近いショックを受けたのでしょう。
人間によって愛でられ、可愛がられるだけが「花」ではない。時には逆に人間を圧倒し、下手に寄せつけないだけの独立した強さを放つことだってあるのだ、と。
作者は偶然出会った路傍の花を通じて、ある種の啓示を受けとり、世界に開かれていったのかも知れません。
6月13日にかに座から数えて「精神的な昂揚」を意味する9番目のうお座で、下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、花弁から電流へといった極端な振れ幅において精神を躍動させていく中で、既存の執着やしがらみから離れていくことが少なからずテーマとなっていきそうです。
おのれを内に求むる
近代アメリカを代表する思想家エマーソンは「おのれを外に求むるなかれ」という言葉を座右の銘にしていたことでよく知られています。
彼の著書『自己信頼』を読んでみると、その背景には彼が「自分にとって自分の心の奥で真実だと思えることは、万人も真実だと信じること―それが普遍的精神というものだ」と堅く信じていたことが大きかったことが分かってきます。
ここでそれをもう一歩押し進めるならば、たとえ自分以外の誰もがその背後に何も有意義な意味を見出さず、特別なことなど何もないと判断したとしても、あなた自身がその背後に生起している力の気配や真実味を確かに感じているならば、それこそ、あなたが求むるべき「おのれ」に他ならないのです。
今週は変化への「兆し」や「予感」がとても強まってくる時です。気を散らさず、ひとりの時間をしっかり確保して、自分の内面へと没入していきましょう。
今週のキーワード
不随意筋のイメージ