かに座
夢と現実、架橋の試み
回復のためのグランドデザイン
今週のかに座は、死に物狂いで描かれた曼荼羅のごとし。あるいは、そのままではこぼれ落ちそうな内臓に、みずから骨格を与えて支えていこうとするような星回り。
曼荼羅は、ユングも言うように自己治癒力の表れであり、実際ユング自身も精神が危機的な状態に陥ったときに、いろいろな図像を描いていました。後になってそれが東洋の曼荼羅に似ていると気が付いたのです。
そうしてユングは、曼荼羅を人間の心の最も根源的なところから出てくる自己治癒力をあらわすイメージであると考えた訳ですが、実際に日本の臨床の場で報告されてきた患者さんの事例を鑑みていくと、何とか自分の危機や崩壊を回避しようと、「もうだめ」という瀬戸際で、本当に死に物狂いで描かれたものが多いのだそうです。
そういうものの方が、回復の過程であらわれるものよりも、迫力があるのは確かでしょう。
そして、これはどこか今のかに座の人たちにもどこかで通底してくる話なのではないかと思っています。
21日(月)にかに座の最後の方で下弦の月を迎えていく他、太陽がさそり座へ移行し、去年の11月から始まったいて座木星期も残すところあと1カ月半ほどとなってくる今週は(12月頭まで)、これまでに培ってきた自分の生活や生き方を根底から支えてくれるような、何らかの「形式」やグランドデザインを模索していくことがいよいよ重要になってくるはずです。
Between the Worlds
ミヒャエル・エンデの『はてしない物語』の終盤、夢の世界「ファンタジーエン」での冒険を終えた主人公バスティアンに向かって、謎の本「はてしない物語」の持ち主は、次のように語りかけました。
「ファンタジーエンに絶対に行けない人間もいる。……行けるけれども、そのまま向こうに行ったきりになってしまう人間もいる。それから、ファンタジーエンに行って、またもどってくるものもいくらかいるんだな、きみのようにね。そして、そういう人たちが両方の世界をすこやかにするんだ」
そう、夢と現実の両方の世界をすこやかにするためにこそ、祈りや儀式は行われるし、曼荼羅もまた描かれる。
だからこそ、それらは何かぶっとんだ特殊な非日常なんかではなくて、人間が人間らしくあるために、この世界の片隅で粛々と日々実践されていかねばならない「生命線」なのです。
今週のあなたもまた、そんな生命線をどこにどう引いていくのか(デザイン)を改めて考え、そして実践されてみてください。
今週のキーワード
夢と現実の架け橋としての「生命線」