かに座
未来への段取り
クリアな視界に見えてくるもの
今週のかに座は、「はるかなるもろこしまでも行くものは秋の寝覚めの心なりけり」(大弐三位)という和歌のごとし。あるいは、ずっと先の未来を身近に感じ直していくような星回り。
作者は平安時代の女流歌人。「もろこし」とは唐土、つまり中国のことだが、当時の感覚で言えば、はるかかなたの地上の果てでした。秋の寝覚めはそんな感じがすると言うのです。
寝苦しい夏の日々がようやくひと段落し、空気が涼やかになってくると、これまで大して気にならなかった他人との距離感も急にぽっかりと穴があいているように寂しく感じられてくる。
それは、自分がなんとなく望んでいる未来との距離感にも同じことが言えるかもしれないのです。
つまり、現状と先の将来を比べてみた時に、現実的に足らない部分や補わなければならない側面がこれまで以上にクリアに見えてくるのです。
そういう意味では、まさに今のかに座のあなたが置かれていく状況をそのまま詠んだようでもあります。
今年も、いつの間にか残すところは4か月と少しとなりました。今年のうちに自分が辿りつきたいところはどこで、実現させたい未来は何なのか。そろそろ、そんなことを考え始めてもいい時期ですね。
プレイヤー・サイドの発想
占いについて、よく「見たくないものは見なくてもよい、見たいものだけ見ればよい」といった言説が必ず出てきます(「よい結果だけ信じて、悪いことは忘れる」みたいな)。
これはオーディエンス・サイドとしてはごもっともな理屈でも、プレイヤー・サイドとしては、自分のいる世界そのものを破滅に追いやってしまう、子供だましのオリエンテーションにすぎません。
例えば、『スーパーマリオ』というゲームであれば、主人公が自分の身長の何倍もジャンプしてみせるのも、キノコを常習するのも、体を虹色に光り輝かせつつ触れた相手を即死させながら爆走するのも、すべては「姫をすくって敵を倒すべし」というゲームの世界のお約束を果たすため。
そのためにはクリアの条件やそれを阻害する障害の克服など、「見るべきものを見落とさず、きちんと見て、必要なことは実行する」という、プレイヤーとして守るべき暗黙のルールは当然守っていかなければなりません。
今週はそんな風に、自分が参加しているゲームの暗黙のルールを見出しつつ、クリアするまでにあとどれだけのステージをこなし、その上で脅威となるものは何か、といったことをしっかりと逆算していきたいものですね。
今週のキーワード
何をもってクリアとするか