かに座
着地点は知らないけれど
心の後先
今週のかに座は、「死してより玉虫はわが懐に」(村上喜代子)という句のごとし。あるいは、安心と憧れのはざまで、心の落ち着け先を探っていくような星回り。
玉虫の句である。だが、冒険家など忙しく外を飛び回って決して御することのできないタイプの人間を伴侶とした人は、同じような安心を抱くのではないでしょうか。もしくは、安心はしたかった。
ただ一方で、いつまでも自分の手の届かないところでキラキラとしていてほしかったというのも、正直な気持ちだったろう。
私のものになってほしいという気持ちと、誰のものにもならない存在であるがゆえに尊く魅力的であるという気持ち。今週のあなたもまた、そんなアンビバレントな感情を抱いていくことになっていくはず。
そしてそんな時、どちらかに偏りすぎることなく、かといっていつまでも中途半端なまま気持ちを中空に漂わせてしまうのでもなく、7:3にせよ5:5であれ。最終的な配分はどうなるにせよ、矛盾した気持ちにどこかでケリをつけていくことが課題となっていきそうです。
自分の望みに気付くには
違う言い方をすれば、何かを「分からない」とか「知らない」と認めることは成功への道筋であるということを、あなたは今週よくよく意識しておくべきなのかもしれません。
ただし、その対象が自分自身である場合、私たちはそうした指標において、落第してしまう傾向が強まるようです。
コーネル大学のダニング博士は、能力の低い人ほど「自分の無能さを認識できず、自己を実際よりも高く評価する(ひいては自信に満ちて見える)」という認知バイアスが働いているという研究成果を発表していますが、能力の多寡だけでなく、「自分が何を望んでいるのか?」ということに関しても、私たちは往々にして無知です。
かつてソクラテスが言った「無知の知(何かについて自分が知らないということを知っている)」を自分自身に適応していくには、やはり想像力が働く余地をつくることが不可欠なのです。
今週のキーワード
矛盾をすすんで抱えていくこと