おひつじ座
汝、能鷹たれ
伝家の宝刀か、宝の持ち腐れか
今週のおひつじ座は、「鳥のうちの鷹に生れし汝かな」(橋本鶏二)という句のごとし。あるいは、単に言葉の上で世界が変わることを期待するに留まるか、行動を以て周囲を啓発していくかそのいずれかに振れていくような星回り。
「鷹」は冬の季語であり、おそらくこれは餌を求めて山深くから人里近くに現れることが多かったから。
ただ「能ある鷹は爪を隠す」という言葉のように、その真の力を発揮するのはごく一瞬のことであり、普段それを見せびらかすような真似は決してしません。
鷹を詠んだ秀句が多く「鷹の鶏二」とも呼ばれた作者もまた、それをよく分かった上で、あえて「鳥のうち」にある鷹へ、熱い憧憬をもって呼びかけたのでしょう。
よくぞ生まれてきたものだ、今こそ汝の真の力を見せてくれ、と。
12月3日に「拡大と発展」の木星が約1年ぶりに星座を移り、おひつじ座から数えて「何者かになる場所」を意味する10番目のやぎ座へ入っていく今週のあなたもまた、自分のうちに潜む炯々と光る鋭い爪をさっと解き放っていきたいところです。
自意識の置きどころ
たとえば、何らかの分野でそれなりの存在感を発揮している専門家というのは概してみな自意識が強いものですが、大別するとその自意識を隠したいと思って隠せないタイプと、隠さずに自己顕示していくタイプのどちらかに分かれていくように思います。
逆に言えば、自意識がほとんど感じられない「普通の人」然とした顔でい続けられる専門家やその道のプロというのはとっても珍しいのではないでしょうか。
けれど、そうして何でもない顔をして、ごく自然なふうに自らの傷つきやすさや素直さを垣間見せられる専門家というのは、ひとつの理想形と言えるでしょう。
先ほどの例で言えば、さしずめひょいと爪を出す鷹。爪を出すのが上手な鷹。
詩の世界であれば、まどみちおさんや谷川俊太郎さん、短歌であれば俵万智さんなんかは、そういう意味での天才なのだと思いますが、それらの人に共通しているのは、自分の未熟さに怯えてないような空気感と言えるかも知れません。
なぜ、怯えてないんでしょう?
何かそこに、いまのおひつじ座の人が思い出していくべき大切なものがある気がします。
今週のキーワード
脱・完璧主義