みずがめ座
やがて海
「満足」を主体に
今週のみずがめ座は、副交感神経の活性化の追求。あるいは、「興奮」と「脅威」以外の要素をみずからの感情システムに招き入れていこうとするような星回り。
サイエンスライターである鈴木祐の『最高の体調』では、人間の心の働きを次の3種類に分類した上で、その3つがバランスよく機能してこそ最高のパフォーマンスが出せるのだと言います。
①「興奮」:「喜び」や「快楽」といったポジティブな感情を作り、獲物や食事を探すためのモチベーションを生み出すシステム。おもにドーパミンで制御されている。
②「満足」:「安らぎ」や「安心感」といったポジティブな感情を作り、同じ種属とのコミュニケーションに役に立つシステム。オキシトシンなどで制御されている。
③「脅威」:「不安」や「警戒」といったネガティブな感情を作り、外敵や危険から身を守るためのシステム。アドレナリンやコルチゾールなどで制御されている。
この3つのうち、例えば①のような快楽ばかりを追求すれば「人生は退廃に至り」、②のような安らぎだけになれば「毎日に前進はなく」、③のような不安ばかりの暮らしになれば「日々をよどませ」てしまいますが、現代社会では、ますます極端に「興奮」と「脅威」(①と③)のどちらかに振れやすい環境になりつつあるように思います。
こうした環境下では、ストレスを感じるとどうしてもショッピングやカラオケ、店舗での飲食、マッサージやサウナなどの資本主義経済のサイクル内で解消しがちですが、『最高の体調』では、3つの心的機能をバランスさせる最高の方法の一つとして、「自然とのふれあい」を挙げており、これはマッサージなどの定番リラクゼーションを上回る癒し効果をもっているのだそう。
7日にみずがめ座から数えて「寿命」を意味する8番目のおとめ座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、生活習慣のなかに少しでも自然とふれあう機会を創り出し、失われつつある感情システムのバランスを図っていきたいところです。
やすらぎの感覚
自然とふれあうということは、事をやたらと急がないということでもあります。例えば、春になると冬のあいだ凍結していた水が溶けていっせいに動き出します。水量が豊かになった川の流れは、日の光を反射させながらゆっくりと河口へとくだり、ゆっくりと海へ出ていく。
そこには、然るべきフェーズをすっ飛ばすということはありない訳で、だからこそ自然は自然として成り立っている訳ですが、どうにも人間だけはこの然るべきフェーズや段階というものをショートカットしようと躍起になるし、それが可能だと思い込んでしまう。
そして、そうした過剰な思い込みをといていくことこそが、やすらぎというものなのではないでしょうか。その意味で、やすらぎとは、自電車に乗るための練習のように、色んな痛い目にあいながら、人が一生をかけて少しずつ覚えていく感覚なのかも知れません。
今週のみずがめ座もまた、慌てず、急がず、間違わず、やすらぎの感覚をじんわりと広げていきたいところです。
みずがめ座の今週のキーワード
一足飛びではなく、少しずつ少しずつ広がっていく