みずがめ座
人でなしとして練り歩く
異様さをまとう
今週のみずがめ座は、『夜の子の明日の水着を着てあるく』(森賀まり)という句のごとし。あるいは、百鬼夜行のごとく練り歩いていこうとするような星回り。
明日水泳の授業がある子どもが、着るべき水着を前夜にもう着てしまい、部屋の中を練り歩いているのだという。きっと、水泳が、水着を着てクラスメイトとプールに入ることが、楽しみで仕方がないのでしょう。なんともほほえましい情景ではありますが、どこか不思議なおとぎ話のような印象を受ける一句でもあります。
それはおそらく、「夜の子」という表現が、夜という時間やその底知れぬ闇から生まれた子という、まるで精霊のようなイメージを抱かせると同時に、その子が、室内をやはり暗い色をしたスクール水着という装いで「あるく」ことで、さながら百鬼夜行のようなただならぬ異様さが強調されているのだと言えます。
ただこれは、日中の街中や公共性の強い場所においてはしばしば起こっていることで、いちじるしくふさわしい状況と場所を違えた服装や振る舞いをすれば、たちまち「妖怪」のような扱いを受けるはず。それほどまでに、人間社会というのは同一性から外れた存在をつまはじきにするように出来ているのだと言えます。
その意味で、6月21日にみずがめ座から数えて「過不足のない適応」を意味する6番目のかに座に太陽が入る夏至を迎えていく今週のあなたもまた、あえて異様さをまとっていくことで、この人間社会での生きづらさを調整してみるといいでしょう。
生き物として正しいかどうか
18歳のときにはじめて学校から脱走して以来、後に画家として有名になる山下清は放浪、つまりあらゆることから逃げ出し、ひたすら歩き続けることで自分を取り戻していったのだとも言えます。
戦時中は、拒否すれば非国民と見なされた徴兵検査からも逃げ出しています。「上手に逃げよう」、そう語る山下清は、打ちあがる花火を好んで見に行った人でありましたが、彼にとっての必要不可欠は「絵を描き続けること」だったのかも知れません。
またその一方で、自分の身体を大切にするあまり、いろいろな健康法をつぎつぎと試して訳がわからなくなってしまったこともあったそうです。そうした山下のエピソードを色々調べていると、どうしても「人間の頭をもった野生の動物」といったイメージを思い浮かべ、先の「夜の子」とも重なってしまいます。
今週のみずがめ座もまた、そんな山下の爪のあかでも煎じて、生き物として正しい方へとどうか自分を導いていくべし。
みずがめ座の週のキーワード
自然に行くのがいいんだな