みずがめ座
額から芽が生える
人間らしくあるために
今週のみずがめ座は、「ひたい」という言葉のごとし。あるいは、すすんで生き生きとした交流をはかっていこうとするような星回り。
万葉集に「吾妹子(わぎもこ)が ひたひに生ふる 双六(すごろく)の 牡(ことひ)の牛の 鞍の上の瘡(かさ)」というおもしろい歌があります。うちの女房の額に生えた、すごろく盤の牡牛の鞍の上の腫れもの、という意味としてはまとまりのない戯れ歌なのですが、ここで注目したいのは「ひたひ」という言葉です。
これは「ひたい」の古語で“おでこ”のことなのですが、万葉集が成立した8世紀にはすでに深く頭を下げて礼拝することを意味する「ぬかずく」の「ぬか」という呼び方があるのに、ここでは改めて「ひたい」という言い方をしているのです。
「ひた」というのは「ひたすら」とか「ひたむき」という言葉があるように、字を当てれば「直」で、「ひたい」とはものに対しても人に対してもまっすぐに向き合う場所として考えられていました。つまり、相手にきちんと向き合うのであれば、それは体でも眼でもなく、「ひたい」だったのです。
「ひたい」の内側にあるのは大脳の前頭葉であり、ここは物事を考えたり、記憶したり、アイデアを出したり、感情をコントロールし、やる気を出したりといった、人間が人間らしくあろうとする上で最も重要な部位であり、古代人は人体解剖をした訳でもないのに、こうしたことをよく分かった上で「ひたい」という言葉を使っていたのでしょう。
同様に、3月21日にみずがめ座から数えて「コミュニケーション」を意味する3番目の星座で春分(太陽のおひつじ座入り)を迎えていくあなたもまた、「ひたい」を通して/「ひたい」に向かって物事や相手に関わっていくべし。
感情の芽吹き
みずがめ座にとって、今週はこれまで停止していた関係やほとんど忘れかけていた感情が突然動き出したり、みるみる間に種子から芽を伸ばしていくように進展していくことがあるかも知れません。そして、こうしたプロセスは少なからず人間関係にも影響してくるはず。
というのも、生命の本質は「ゆらぎ」にあり、鞘におさまった剣のような完璧な調和というのは長くは続かず、どちらかが必ずズレていく。これが芽生えにおける決定的なプロセスであり、種子から芽が生え土壌をつらぬき光のもとへと達したとき、この世界へと向いた生命のダイナミックな展開が始まっていくのです。
もしあなたがシングルなら、息を継ぎひと休みできる相手なら誰でもいいという心境にはもう居られなくなっていくはず。もっとみずからの細胞が湧きたち、決定的な何かが芽吹きそうだという思いを掻き立ててくれる相手でなければ、と。
こころをのびのびと解放していくと、いい意味で「わがまま」になっていきます。もっと自分はわがままになってもいいのだと、今週は自分に語りかけてあげるくらいでちょうどいいのかも知れません。
みずがめ座の今週のキーワード
ひたすらに、まっすぐに