みずがめ座
変革の震源地に立つ
春待つ心
今週のみずがめ座は、「羽もなく鰭(ひれ)もなく春を待つてをり」(藤井あかり)という句のごとし。あるいは、正しい時に正しい場所に正しい姿勢で立っていようとしていくような星回り。
どこか芭蕉の「行く春や鳥啼き魚の目は泪」と対をなしているような印象の一句。
芭蕉の句とは違って、わたしには鳥のような羽もなければ、魚のような鰭もなく、どこか別の世界へと足を踏み入れてしまうこともできずに、この場所を動かず、ただ春の到来を待つことしかできない。だが、掲句はそのことを悲観しているというよりは、一度はそういうことも夢見たが、今はそれでいいのだと受け容れているように思える。
なぜなら、春が来れば、現在いる、ただ寒いだけの場所にも草木が芽吹き、花が咲き、虫がうごめき、鳥も訪れ、自然はその姿をがらりと変えていくということを、わたしは知っているから。それは、羽や鰭を得て、さっさと別の次元の世界に行ってしまうことよりも、ずっと大きな意味があるのだと、実感しているのだ。
春を待つ切実な想いの奥底には、ただ長く厳しい冬からやっと解放され、生活が楽になるというだけでなく、事前に予想していた変化をこの目でじかに確かめたいという、人類を突き動かしてきた知的欲求もまた横たわってきたのではないだろうか。
その意味で、2月1日に自分自身の星座であるみずがめ座で新月を迎えていく今週のあなたもまた、じっと待つことの大切さやよろことびを改めておのれに刻んでいくべし。
静かなる変革
相手が人間であれ自然であれ、対象を心から「敬う」とは、その相手の後ろ姿に心から「うなづく」ことができるということでもあります。それは簡単なようで難しく、なぜなら「絶対に正しいこと」など世の中にほとんどないように、目の前の対象を疑う心を持たない人はほとんどいないからです。
だからこそ優れた師は、弟子に「それはなぜそうするのですか?」と聞かれた際に、ただ黙ってうなずいてから、説明をせずに無言を貫きます。それは「ああなってこうなって、こうなるんだ」と言葉で説明しようとしても、どれも正確には表現し切れないから。師として成熟してあるほど、不正確なことには黙ってしまうもの。しかし、それがかえって弟子に変革を引き起こす訳です。
そういう意味では、黙って静かにただ「待つ」ということは、最良の変革のトリガーとなりえる行為なのかも知れません。今週のみずがめ座は、そんな静かなる変革を意識してみるといいでしょう。
みずがめ座の今週のキーワード
沈黙のさなかに立つ