みずがめ座
心はいずこ?
※12月13日〜19日の占いは、諸事情により休載いたします。誠に申し訳ございません。
次回は12月19日(日)午後10時に配信いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
生の実感の源としての「心」
今週のみずがめ座は、「あわれみ」を意味するギリシャ語「スプランクニゾマイ」のごとし。あるいは、心が内臓にあるという感覚を生々しく実感していくような星回り。
心はどこにあるか?と聞けば、現代人のほとんどは胸を指すことと思いますが、しかし、江戸時代までの武士などは腹を指したのだと言います。だからこそ、身の潔白を証明する際に、みずからの腹を切ってみせたのでしょう。
それは腹の深奥にこそ「清き心」はあるのだというイメージが、当時の人たちのあいだに浸透していたことの何よりの証左であった訳ですが、どうもそれは洋の東西を問わずに共通したイメージであったようで、たとえば聖書にはイエスだけが使う「あわれみ」を意味するギリシャ語の「スプランクニゾマイ」という言葉が出てくるのですが、これはもともと「はらわたが動く」が語源でした。
つまり近代以前や古代においては、なにかが腑に落ちたり、腹をわって話せたり、お腹がきゅっと動いたりする時の部位にこそ、「こころ」は宿っていたのであり、逆に言えば、頭にきたり、ムカついたり、キレたりするときの部位から出てきた思いや考えというのは「心ない」ものであり、したがって真に受けたり信用するには足りなかった訳です。
11日にみずがめ座から数えて「内臓」を意味する2番目のうお座で上弦の月(行動の危機)を迎えていく今週のあなたもまた、心=はらわたで感じること以外はいっそスルーしてみるくらいのつもりで過ごしてみるといいかも知れません。
直感の生まれ方
数学といえば論理的な学問の代表のようなイメージがありますが、その研究を進めていく上では「情緒」こそが何より大切なのだと説いたのが、数学史に名を残す世界的数学者であった岡潔(おかきよし)でした。
彼は数学の難問に取り組んでいた二時間半のあいだに自分の頭の中で起こっていたことについて、「全くわからないという状態が続いたこと、そのあとに眠ってばかりいるような一種の放心状態があったこと、これが発見にとって大切なことだったに違いない」(『春宵十話』)と述べています。
クリエイティブな数学上の発見は、じつは論理からではなく直感から生まれるのであり、彼はさらに次のように続けています。
もうやり方がなくなったからといってやめてはいけないので、意識の下層にかくれたものが徐々に成熟して表層にあらわれるのを待たなければならない。そして表層に出てきた時はもう自然に問題は解決している。
ここで岡の言っている「意識の下層」こそ、先の「はらわた」であり、「情緒」の出所でもあったように思います。同様に、今週のみずがめ座もまた、どうしたら「はらわた」が動くところまで自分をもっていけるかということが問われていきそうです。
みずがめ座の今週のキーワード
よい頭はからっぽ頭