みずがめ座
夢のまにまに
こちらは6月21日週の占いです。6月28日週の占いは諸事情により公開を遅らせていただきます。申し訳ございません。
レトロトピアの出現
今週のみずがめ座は、ジグムンド・バウマンの「レトロトピア」のごとし。あるいは、退行の時代を生きる私であるような星回り。
約500年前にトマスモアはまだどこにも存在しない未来の理想郷としての「ユートピア」を構想し本にしましたが、社会学者のジグムンド・バウマンは現代においては、そうしたモア的なユートピアを二重に否定した「レトロトピア」すなわち、もはやどこにも存在しない過去の理想郷が人々のなかに出現しつつあるのだと喝破しました。
つまり、まだ到来していないがゆえに存在しない未来と結びついて存在していたものに代わって、失われ、盗まれ、投棄されてはいるものの、完全に死んではいない過去の中から複数のヴィジョンが出現し、それが積極的に自分たちの生きるべき世界として選択し直されているのだ、と。
これは現在のような極端な貧富の格差の広がりが放置されているような状況が、人々のメンタリティに及ぼす影響のほどについて考えれば、自然な流れであるようにも思えます。
確かに、このまま社会が過酷な競争原理の働きや人間関係を解体する無縁化の荒波を解消できなければ、慢性的な不安状態に陥った人びとは、自己を脅かす他者の存在せず、そもそも自他の区別さえも曖昧な自己充足状態をもとめて、ますます過去への憧憬やノスタルジアが広がっていくのかも知れません。
25日にみずがめ座から数えて「失われつつあるもの」を意味する12番目のやぎ座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、ひとりの“時代の子”としての自分自身を実感していくことになるでしょう。
三上寛の「夢は夜ひらく」
生きていれば、みずからの胸のうちに苦い思いが溜まってしまうことがあるものです。しかし、そこでただ愚痴やストレス発散に向かうのではなく、ひとつの「夢」へと昇華させていくことでこそ、自分を救っていくということができるのかも知れません。
かつて田舎者丸出しでライブに登場した三上寛は、誰も知ってる「夢は夜ひらく」に、全身全霊でオリジナルの歌詞をのせて歌い、そのライブは伝説となりました。七(質)に二(荷)をたしゃ九(苦)になるが
九(苦)になりゃまだまだいいほうで
四(死)に四(死)を足しても九(苦)になって
夢は夜ゆらく
サルトル マルクス 並べても
明日の天気は わからねえ
ヤクザ映画の看板に
夢は夜ひらく
八百屋の裏で泣いていた
子ども背負った泥棒よキャベツひとつ盗むのに
涙はいらないぜ
みずがめ座の今週のキーワード
「私が自分に問いかけるとき、私自身の奥底から説明のつかぬ夢が、生れでる。」(M・フーコー『狂気の歴史』)