みずがめ座
不思議な<関わり>
「ザハル」という語について
今週のみずがめ座は、ヘブライ語の「ザハル(記憶する)」という動詞のごとし。あるいは、新たな興味・関心が湧きおこっていくような星回り。
世に、関わりほど不思議なものはありません。人、書物、街、仕事、趣味やお店など、その対象はさまざまですが、振り返ってみれば偶発的でささいなきっかけで関わったものによって今の自分がここに在る、ということは考えてみれば非常に多いはず。
そう考えると、この「わたし」というのも一種の虚像であり、さまざまな関わりや結びつきこそが実体なのだという気さえしてきます。では、どうしたら数ある関わりや結びつきの中でも、特に決定的な関わりが成立し得るのでしょうか?
それは神の御心にとまるがゆえ。ヘブライ語には「ザハル」という動詞があって「心に留める、記憶する」という意味ですが、この語は聖書の洪水神話にも登場してきます。
「そして神は、ノアと、彼と共に箱舟の中にいたすべての生き物と家畜とを心に留められた」(創世記8・1)
この神とは、洪水によって全人類を滅した神さまなのですが、ノアだけは例外でした。風を送って地を乾かし、天の窓を閉じて雨を止めた。そしてノアを箱舟から招き出し、二度と洪水は起こさないと“約束”したのだといいます。さらに、初めて肉食することを許し、これらの契約を「心に留める」印として雲の中に虹を置いたのだとか。この一連の物語のなかで、「ザハル」は何度も使用されており、いずれも「覚えておく」「決して忘れない」というニュアンスが含まれていました。
20日に太陽がみずがめ座から数えて「コミュニケーション」を意味する3番目のおひつじ座に移動し、春分を迎えていく今週のあなたもまた、ふいに訪れる<関わり>のなかに見えざる神の介在を感じてみるといいでしょう。
魂の導き手
例えば、行ける場所や行きたい場所に行くよりも、行きたくない場所にあえて行った時の方が、おもしろい旅になった。誰しも少なからずそんな経験をしたことがあるはずです。
ただし、行きたくない場所にあえて行くためには、そのきっかけを作ってくれる導き手が必ず必要となってきますが、先の「ザハル」とは、ある意味でそうした導き手を見つけていくことに他ならないのだと言えるでしょう。
それはあなたの身近にいる実際の人物である場合もあれば、開いた本の1ページや、駅や街や本屋やネットなどで、ふいに目に飛び込んできたものであったりするかも知れない。
いずれにせよ、そこで求められているのはある種の‟天啓”であり、頭がパッカーンと開いていくような“驚き”であるはず。今週のみずがめ座は、そうして自分を驚かせてくれたものとの出会いにしっかりと心をとめ、その導きに手を伸ばしていきたいところ。
今週のキーワード
プシュコポンポス(冥界神としてのヘルメスの別名)