みずがめ座
春と祝祭
※2021年3月1日~3月7日の週間占いは、公開を延期とさせていただきます。(2021年2月28日追記)
日常の外へ
今週のみずがめ座は、「ロボットも博士を愛し春の草」(南十二国)という句のごとし。あるいは、遠くのものを近くに引き寄せていくような星回り。
一読してドラえもんとのび太くんを連想させる一句。考えてみれば、ドラえもんは「感情もったロボット」という元型を日本中の子どもたちに刷り込み続けてきた訳ですが、その影響は計り知れません。
そして、そんなドラえもんを見て育ったうちの誰かが実際に「博士」となっていてもおかしくない時代を私たちは現に生きているのであり、おそらくそんな「博士」は既にどこかに実在しているはず。
ここで留意しておかねばならないのは、人間は根源的に分身を作り出したいという欲求を持っていますが、そうして作り出した分身=ロボットは意図せずして日常を超えたものと繋がる役割を備えているのではないか、ということ。
つまり、ロボットがしめす愛とは、どこかでかならず博士の日常を異化するような祝祭性を備えており、掲句の「春の草」の感じもまた、そうして凝固した日常の外へと誘い出されていった地平で体験されているものなのです。
27日にみずがめ座から数えて「終わりと始まり」を意味する8番目のおとめ座で満月を迎えていく今週のあなたもまた、掲句の博士のように、自分の思い通りにならないものとの距離感を改めて調節していくべし。
大洋感情
「春の草」が感じられるような日常性の外の祝祭は、やがて海へとたどり着きます。海というのは生命がそこから生じてきた広大な「子宮」であり、意識が個人的な形式をとる生態系内を覆っている「集合的無意識」の現われであるとも言えます。
人間の意識というのは、彼らがその中で生きている文化に応じて、個々それぞれに特殊なカタチが与えられていますが、当然そうした特殊化のプロセスには行き詰まったり袋小路に入り込む時というのが出てくる訳です。
そして、そんな時に必要となるのは、スマートなソリューションや立派で含蓄ある思想や哲学などではなく、母との合流であり、ゼロからのやり直しなのではないでしょうか。
それは彼らが自身の日常性を規定する文化に制限されることなく、なんら境界線をもたなかった頃の自分への回帰であり、(子宮に永遠にとどまることを望むのでなければ)それはこの世界との非常に深い一体感やそれによる生き返りをもたらし、社会人である前にひとりの人間、いやひとつの生命としてごく自然な健全さを取り戻す機会となっていくはず。
今週は身体と頭をゆるめましょう。もちろん、いかめしい深みはそこでは不要です。
今週のキーワード
春と修羅