みずがめ座
立ち直りの想像
「心温かさ」はどこから来るか
今週のみずがめ座は、「御手討ちの夫婦なりしを更衣」(与謝蕪村)という句のごとし。あるいは、なにか心温かいものがそっと入り込んでくるかのような星回り。
この「更衣(ころもがえ)」というのは、本来は初夏の季語ですが、ここではあえて今の時季に引用しました。
「御手討ちの」というのは、不倫なのか、奉公している主人の娘さんを好きになって駆け落ちしたのか、普通だったら罰を受けたり、とても許されない関係であることを暗示している。
しかし、そうはならずに、ひっそり隠れて住んでいる若夫婦が更衣をしている。気持ちを改めながら、世間並みの暮らしができているということなんです。夫婦の中に、なにか心温かいものが感じられますね。
自暴自棄になってしまってもおかしくない状況下で、誰かと手を取り合って生活や関係を立て直していく。「心温かい」とは、そうしたときに最も切実に感じられてくるものなのかも知れません。
10日にみずがめ座から数えて「立て直し」を意味する6番目のかに座で下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、不足していた気力や活力を呼び込んでいくための所作や習慣を取り戻していくことが大切になっていきそうです。
コスモスと共に
例えば、花の名前をあまり知らない人でも、アスファルトの隙間やガードレールの下など街や野原のあちこちでたくましく咲くコスモスくらいは判別がつくという人も多いのではないでしょうか。
コスモスは意外にも非常にたくましい花で、踏まれても、なぎ倒されても、やがてたくさんの根をしっかりと出してまた立ち上がるという、旺盛な生命力を持っています。
とはいえ、足元で咲くコスモスの存在が人々の意識のなかに主役として登場することは、慌ただしい都会の日常ではほとんどないでしょう。
大抵は脇役としてさえ認識されず、日常を流れ去る背景の一部として意識の底に沈められていく訳ですが、そうしてすぐ傍らに生きる自然や存在をどんどん意識の外へと捨象していくことこそが、日常が色褪せたものになっていく主な原因なのだということにも、ほとんどの人は気付いていません。
その意味で、彼らかそけき存在とこの世界を共有しているという実感こそが自分が生きて在るという現実を支えてくれているのだと再認識していくことは、今週のみずがめ座にとってひとつの鍵となっていくように思います。
今週のキーワード
立ち直りと想像力の強い相関