みずがめ座
鬼が出るか蛇が出るか
宝物のような偶然を
今週のみずがめ座は、「長身をもてあますとき秋蝶来」(藤井あかり)という句のごとし。あるいは、精神をプラスに反転させていく偶然を見つけていくような星回り。
「長身」というのは作者自身のことなのでしょう。どうもそれをあまりポジティブには受け止めていない。けれども、そうしてなんとなく自分の長身を持て余していたら、ふいに「秋蝶」がひらひらとやって来るのが見えた。
それが、なんだか無性にうれしくて俳句まで詠んでしまったんです。だめですか?
「秋蝶」は立秋を過ぎてから見かける蝶のことで、春や夏の蝶に比べるとどこか弱弱しく、頼りないような印象を受ける。そんな姿に、もしかしたら作者は自分自身を重ねていたのかも知れません。
こうした精神的な陰翳の濃さみたいなものは、普段から生きている幸福を噛みしめていて、そのままそれが句に現れているような人にはなかなか出せないものですが、その点、作者はネガティブ過ぎることもなく、人としての下地にある寂しさが丁寧に紡がれているからか、不思議と読んでいて気持ちがよくなるような感じがあります。
10日にみずがめ座から数えて「精神の敏捷さ」を意味する3番目のおひつじ座で火星が逆行に転じていく今週のあなたもまた、自虐や被虐に走るのではなく、安らかな湿り気をもって身の周りの世界との交流を楽しんでいけるかが一つの焦点となっていくでしょう。
ギャンブルとしてのクリエーション
俳句というのは、熱心に詠んでいるうちに次第に自分の好きなものに似てくるのだと言います。
たしかに芭蕉の俳句はどこか旅に似ているし、蕪村の俳句は絵に似ている。ということは、猫が好きな人は猫のような俳句になっていくし、タロット占いが好きな人はやはりタロット占いみたいな俳句になっていくのでしょう。
そうすると、掲句の作者の好きなものは何か。この場合は、蝶そのものが好きと言うより、優しくしてほしい時に差し出されるやさしい企て、そのふるえるような繊細さに親しみを感じているように思います。とはいえ、考えてみればこれはなかなかに怖ろしいことで、そこには自分の生き写しがパッと現れてしまう訳です。
その意味で、今週のみずがめ座は自分の生き写しでも捉えるつもりで、何事かに取り組んでみるといいでしょう。鬼が出るか蛇が出るか。それとも仏が出てくるか。そんな博打に乗ってみるのもたまには悪くはないのではないでしょうか。
今週のキーワード
造化随順