みずがめ座
ボディ・ネイティブ・ランゲージ
拘束具から脱する
今週のみずがめ座は、「方言」への回帰のごとし。あるいは、自分の身体性から反映されてくる話し言葉で語っていこうとするような星回り。
明治の言文一致運動は「話し言葉を書き言葉として定着させるもの」であり、それだけ聞くと、ごく当たり前のことようにも思われます。
けれど、明治やそれまでの日本では、話し言葉はひとつではなかった。
土地土地の生活や、身分に応じた生育環境を反映させる言葉をしゃべっていたのであり、お国言葉や訛りなどないはずの東京に生きる人々は、さまざまな方言を話す異なる人種の集合体だった訳です。
つまり、言文一致運動とはそれまで必ず何らかの形で日本人が背負ってきた「生活属性」を捨てることで、「普遍的な語り手」にならんとする試みに他ならない。そしてその「誰でもない人間」の性別は暗黙裡のうちに男に設定されてきたのです。
標準語を駆使してよりよい「語り手」になることは、近代的なパースペクティブがさまざまなところで破綻してきている今の時代において、「通りのいい言葉」である言文一致的な標準語は、ある種の「拘束具」と化しているのではないでしょうか。
その意味で、19日(水)に太陽がみずがめ座から数えて「非言語的コミュニケーション」を意味する2番目のうお座へと移っていく今週のあなたもまた、自分の身の丈に合わせた、自分にとって心地よく感じる言葉を少しでも作りなおしていくことがテーマとなっていきそうです。
言葉はゆらぎから生まれる
言語であれ、生まれや育ちであれ、思想であれ品格であれ、最愛の「持ち物」というものは、いつかは核分裂して自分の元から離れていく宿命にあります。
というのも、生命の本質は「ゆらぎ」にあり、鞘におさまった剣のような完璧な調和というのは長くは続かず、どちらかが必ずズレていくから。
これは‟新しい言葉”が生まれていく上でも避けられないプロセスであり、人はそのゆらぎのなかで自分の身から分裂していく分身の成長と‟家出”とを目撃していくことになります。
それは言い換えれば、これまであなたが私的に所有していたアイデアや感情が、ようやく‟公共財”として日の目を見ていく転換点なのだとも言えます。
あなたはそのすべての責任を取るつもりで(しかしなるだけ直接手は出さず)、成りゆきをしっかり見守っていきましょう。
今週のキーワード
土の匂いのする語り手