さそり座

過去と未来の“波打ち際“で
ここ10年の運気の流れの総決算たる「収穫期」を迎えていくのが、さそり座にとっての2020年上半期なのだと言えます。
ここで言う「収穫」とは、自分と世界との結びつきやその熟成の帰結であり、いつの間にか育んできていた「目に見えない財産」が顕在化してくるタイミングでもあります。
ただし、人間がつくり出すもののほとんどは、一人の人間の力ではどうにもならない天の力の働きを通してもたらされるものであり、それを認識していくには相応の「知恵」が不可欠となります。
例えば、自然と調和して生きるネイティブ・アメリカンの人びとは、自分自身を生態系の大きなリズムや、それらが産み出すものと協調して機能する存在であると感じているがゆえに、人生に何かを過剰に要求するということもありませんし、新しい欲求が出てくれば自然とそれにふさわしい“土地“へと直感的にたどり着いていきます。
今期のさそり座は、未来と過去、理想と現実、強さと弱さ、必要と不要、それらが交錯する「波打ち際」に立つ中で、自身の知恵のあり様を問われていくのだとも言えます。結果的に古い環境から離れていくということも起きていきやすいでしょう。
2020年上半期、各月の運勢
1月「これから学ぶべきことを絞る」
1月13日は、いよいよやぎ座で太陽と土星と冥王星が重なります。これは「硬直した自己定義の破壊と再建」を意味する配置で、だいたい三十数年に一度起こる大きな節目の時であります。さそり座にとっては「生き延びるためのスキル」を意味する場所でこの邂逅が起こっていくため、あなたは自分の長所やアピールポイントだと思っていたものが傷んでしまっていないかの確認や、補修か新規獲得かの選択を迫られていくでしょう。うまく行けば、結果的に今自分が学ぶべきことが何なのかがはっきり明確になってくるはずです。
2月「学生時代の再来」
2月16日には木星・土星・冥王星という非常に強力な3つの星に続いて、実行部隊の火星もやぎ座へ入っていきます。この配置は3月いっぱいまで続きますが、特にそのスタート期間である2月は、先月で浮かび上がってきたプランやアイデアを具体的な行動やチャレンジへと移していく格好の時期となっていくでしょう。ただし、すぐに結果と結びつかなくても、決して焦らないこと。学生時代に戻ったつもりで、根気強くコツコツと勉強していく精神や、学ぶべき相手へのリスペクトを忘れない姿勢を取り戻していくべし。
3月「結びつきの変わり目」
3月9日にはさそり座の対向星座であるおうし座で天王星と金星が重なっていきます。これは、すでに停滞しつつある関係性や関わり方の基準をあなたがついに手放す時がきたことの暗示であり、また、あなたの良さを理解してくれている人たちとの、真の意味での対等なパートナーシップを築いていくひとつの区切り目ともなっていくでしょう。どちらが上か下かを気にしたり、束縛しなければ信頼を保てないような関わりはもうやめること。過度に干渉しあわない関わりをこそ大切にしていきたいところです。
4月「念願成就の兆し」
4月5日にさそり座の守護星である冥王星に、幸運と発展の木星が重なっていきます。これは約13年に一度起きていく配置であり、逆行の関係で今年三度あるうちの最初の邂逅。そしてこれを機に、あなたが長年心の奥底に秘めつつ、次第にそのことへの自覚を促されてきた願望が、いよいよ実現の端緒をつかんでいくことになるでしょう。それはあなた個人のものというより、あなたの親や祖父母など、血統や霊統の流れの中であなたに流れ込んできているものの開花なのだと言えます。
5月「両性具有的であること」
5月7日のさそり座17度での満月は、仏陀の生誕と成道と涅槃を同時に祝う「ウエサク」の名でも親しまれており、非常にパワフルな力が降り注いでくるタイミング。サビアンシンボルは「自分自身の子の父である女」で、これは「これこそが自分」なのだという“子ども=新しい自分“を自分の中に見出し、それを育てていく覚悟をしていくこと。そして、それを阻止する力に対しては、厳しく対抗していかなければいけない必要性も暗示しています。あわせて、女性であること、男性であることをめぐる偏見やこだわりもこれを機に少しでもぬぐい去っていきたいところ。
6月「不思議大好き」
6月21日の夏至の日に、かに座で日食新月が起こります。かに座はさそり座から数えて9番目の位置にあり、これは「高次の学び」や「精神的成長」を表し、心理学や思想、哲学、宗教、精神世界などの知見を通して、改めて人間の複雑な感情の深みに対する洞察が得られやすいタイミングなのだと言えます。特に、こころとモノとが交わりあうところに生じる宇宙の不思議には、心惹かれていくはず。そこでの驚きと喜びこそが今後行くべき道先を照らす「知恵」となって、きっとあなた自身を支えていくことでしょう。
2020年上半期、さそり座に口癖にしてほしい言葉
「男女の情もひとへに逢ひ見るをば言ふものかは」
情というものは、現実に会うことだけが重要なのではない。逢いたくても逢えないでいる方がいっそう身に沁みてわかるし、哀れが深い。兼好法師のこの言葉は、現代人が忘れてしまった真実だろう。だからこそ、魂と魂が歩みよって、触れ合った時、人は感電に近いショックを受ける。そういうことこそ、奥深いこの宇宙の不思議の一端なのだろうと思う。

