かに座

いのちの水路を流れゆく
2020年上半期のかに座は、いよいよ根底から人生や人生観が変わっていきやすい地殻変動のタイミング。これは逆に言えば、既存の地盤に亀裂が入り、これまでの生き方が崩されていくということでもあります。
例えば、昔の東京や大阪などの大都市には縦横無尽に水路が走っており、陸上の安定した人間的暮らしと水上の自由な自然世界とが、うまい具合にバランスを保ちながら両立していたものでした。それが東京オリンピックの時に水路が次々と埋められていくうちに、東京はどこか息苦しく不自由な街になってしまった訳です。
その意味で、今期のかに座のテーマは、もう一度人生に自由な“水路“を取り戻し、流動性に身を任せていく中で、人として、いや一個の生命として生まれ変わっていくことにあるのだと言えます。
何より、水路をスムーズに移動していくためには、陸地の作法とはまったく違って、大自然の法則性やサイクルを受け入れ、従っていかなければなりません。つまり、「“自力“で頑張り通せばなんとかなる」という発想をいかに解除して、“他力“に上手にのっていけるかが、今季のひとつの焦点となっていくでしょう。
2020年上半期、各月の運勢
1月「最終ゴールの書き換え」
1月13日は、いよいよやぎ座で太陽と土星と冥王星が重なります。これは「権威者や法そのものとの問題」や「未解消の怒りや怨みの噴出」を意味する配置で、だいたい三十数年に一度起こる大きな節目の時であります。かに座にとっては「他者とのパートナーシップ」を意味する場所で邂逅が起こっていくため、人との繋がりの中で破壊と再生を伴なう荒療治を経験していきやすいでしょう。この前後のしばらく間は、付き合う相手によって人格まで変わってしまう可能性も。とはいえ、それも一つの運命として甘受していくくらいでちょうどいいかも知れません。
2月「激しい応酬もいとわない」
2月16日には自己主張の火星がやぎ座へ入っていきますが、これはかに座のあなたにとっては反撃の狼煙があがっていくタイミングと言えるでしょう。もはや事を穏便にすませようとか、自分が我慢すればいいといった発想は捨ててください。意見が食い違おうが、友好的な関係ややり取りとは程遠かろうが、今こそあなた自身の本音や意見を届けたい相手にぶつけていく時です。むしろ笑われたり、逆に彼らを笑ったり、それが人生なのではないだろうか。
3月「暴れるだけ暴れさせよう」
3月18日前後に、やぎ座で月・火星・木星・冥王星・土星の5つの惑星が大集合していきます。これはある種の異常事態であり、ふだんは自分の意識の奥底で眠っている「内なる子ども」が大暴れして、まったくこちら(大人の都合)を聞かくなってしまうといったことも十分にありえるはず。泣いたり、叫んだり、走り回ったり、壊したり、ぶつけたり。もう何が起きてもいいように、できるだけこの前後のタイミングはストレスをため込まずに過ごせるように、前もって備えておくといいかも知れません。ただ、いくら備えようと、万全という言葉がまったく成立しないだろうことも心しておくこと。
4月「体を開いて、視線は遠く」
4月23日にかに座から数えて「願望と展望」を意味する11番目のおうし座で新月が起こっていきます。この先自分は未来に何を望んでいるのか、どこへたどり着いていきたいのか、そしてそれを実現するためには何が必要なのか。これまでの古い枠組みや生き方が壊れてきつつあるこのタイミングならば、そうした見通しを素直に、くっきりと思い浮かべていくことができるはず。できるだけ、これまでの自分が飛びつきそうな発想やビジョンは捨てて、これまでにないものを思い描いていきたいところです。
5月「スピード感を楽しもう」
5月12日にかに座と同じ水のサインであるうお座へ、人生をドライブさせる火星がイン。火星の助力を得て、これまでが手漕ぎボートだったのがエンジン付きモーターボートへ変わったくらいの推進力の違いや、展開のスピード感をまざまざと実感していけるはず。ただ、今はまだすぐに確かな結果を求めたり、利益を出そうとするのではなく、試乗運転中になんとなく高速にのって遠くまできてしまった人くらいの感覚で、可能性を広げていくこと自体を純粋に楽しんでいきましょう。
6月「門出と公表」
6月21日にかに座1度で日食新月を迎えていきます。これはある意味で、今後12年の新しいサイクルの本格的なスタートの日であり、これから根付いていくべき新しい場やフィールドを見定めていくことがテーマとなっていくでしょう。サビアンシンボルは「船員が古い旗を降ろし、船上に新しい旗を掲げる」で、これは個人主義的な身から、集合的な意思を引き受け、それに従っていくことを暗示しており、結果的に新たな生き様の基準を公表していくタイミングとも言えるかも知れません。
2020年上半期、かに座に口癖にしてほしい言葉
「板子一枚下は地獄」
これはかつての舟乗りたちの言葉。薄い板を一枚隔てただけの舟底で感じられてくる自然や死の生々しい音や感触と直に接していくことで、心の奥底でつねに揺れ動いて変動していく底なしの生命力を取り戻していこう。そんな命すれすれのダイナミズムや広大なスケール感を忘れずにいたいところです。

