おとめ座
脱・閉鎖系
よりよき異界であるために
今週のおとめ座は、「寒き電線絡み入るスナック純」(坊城俊樹)という句のごとし。あるいは、誰か何かを自分のもとにやって来させる導線を引いていくような星回り。
結びの「スナック純」は、そのネーミングからして見かけることも少なくなった、中年ママが場末で1人切り盛りしているような小さな店を連想させてくれます。
が、掲句の巧みさはそうした分かりやすい目印にたどり着くまでの音律の乱れ(575から逸脱した破調)と意味の一致によって、奇妙で粘っこい生々しさが醸しだされている点にあります。
うす暗い路地を曲がった先のネオンを目にして、無視できない何かを感じた作者は思わず立ち止まった。その視線の先には、どこか異空間を思わせる店の扉の向こう側へとこちらを誘うかのごとく、電柱から「絡み入る電線」が垂れ込み伸び茂っている。その光景を、はじめに「寒き」と言い表したことで、店内の描写など何一つないにもかかわらず、読者の頭のなかにどこかあたたかで、懐かしい、居心地のいい雰囲気が広がっていくわけです。
時代の空気感を的確に言い表すことで共感を呼ぶ冒頭の措辞からの、意表をついたリズム感と無視できずに目で追ってしまう生々しい描写の組み合わせ、そしてみんなの懐かしさの最大公約数を形にしたような店舗名。この一連の流れは、そのまま今のあなたの指針となるマーケティング戦略とも言えるかもしれません。
12月1日におとめ座から数えて「場づくり」を意味する4番目のいて座で新月を迎えていく今週のあなたもまた、どんな人をどんな流れで自分のもとにおびき寄せたいのか、改めて考えてみるといいでしょう。
コンタクトのハードルを下げる
例えば、これといった産業もまだ育っておらず税収もギリギリで持ちこたえているような地方自治体について考えてみましょう。
完全な死に体にならないためには、起死回生の振興策や「右肩上がりの成長曲線」のような幻想を掲げることより、まず地域の人たちがお互いにコミュニケーションできて、助け合えるような場をつくっていくことが大事なのだということは、近年のコミュニティデザインの分野ではよく言われていることです。
というのも、人体であれ共同体であれ、悪い状況がさらに悪循環に入っていくきっかけとなるのは、会話のハードルが上がって、個々がバラバラになってしまうことであり、その意味で、毎日のちょっとした気候の変化や玄関の鉢植えについて会話するようなごく軽いコミュニケーションの回復こそが生命線となっていくのだそう(高齢男性ほどこれが苦手)。
たとえ行政が破綻したとしても、人々の暮らしは続いていく。そのことを、私たち日本人は3.11やコロナ禍でつくづく痛感してきたはず。今週のおとめ座もまた、そうした生命線を改めて繋いだり、太くしていくべく、ちょっとした声かけや連絡を意図的に取ってみるといいでしょう。
おとめ座の今週のキーワード
鉢植えについての雑談