おとめ座
夢のまにまに
生まれ変わるとき
今週のおとめ座は、「夢の如くがゝんぼ来たり膝がしら」(岡本松濱)という句のごとし。あるいは、自分に刻された夢のかけらを見出していくような星回り。
脚の長い蚊のような姿をしているががんぼは、音もなくいつのまにか近くにきては、追い払おうとしてすこし手が触れただけでもたやすく脚が折れてしまったりして、どこかはかなげな印象のある虫ですが、掲句ではそれが膝がしらに来ている。
室内にも入ってくることのある虫なので、厚いズボンの上に止まっているというより、おそらくくつろいだ部屋着姿で、露出した肌に直接ががんぼの細い脚が触れて、こそばゆさを感じているのでしょう。
そのあるかなきかのかすかな感触を作者は「夢の如く」と喩えている訳ですが、今週のおとめ座の人たちもまた、そうした吹けば飛ぶようなじつに心許ない記憶や直感をたどっていく感覚にどこかしらで覚えが出てくるはず。
私たちは普段すっかり忘れてしまってしますが、現実というのはすべからく胎児の頃に夢見ていた夢と地続きであり、自分ではとうに忘れてしまった記憶や誰かが見た夢と交じり合った共有部分から、時おりががんぼのような"使者”がやってきては、現実の輪郭をすこしだけ揺るがすような想起を促すのです。
17日にはやぎ座で満月が起きていきますが、やぎ座はおとめ座から数えて5番目の位置関係にあり、「再誕」や「生まれ変わり」を意味する位置。さながら夢から醒めた後のように、自分でも気づかないうちに何かどこかが変わってしまっている。今週は結果的にそんな感慨を抱いていくことになるかも知れません。
胎児からのやり直し
薄皮に覆われているように外部の声は遠く、いつもならば気付かずに聞き逃してしまうようなかすかな音や空気のゆらぎにも妙に気が留まり、まるで乾いたスポンジのように貪欲にそれら知覚情報を吸い込んで、それらの発信源や正体を全身で突き止めようとしていく。
今週のあなたの姿は、どこかそんな光景をイメージさせます。
もちろんなんとなく時間を潰し、適当にやり過ごすこともできるでしょう。ただ、もし今あなたが少しでも自分に違和感を感じていたり、なぜかは分からないけれど悪い流れに行きかけていると感じているなら、惰性の日和見主義を捨てて一つの決断をしていく時です。
すなわち、人生という川の流れにおいて、自分がいま位置しているよりもずっと上流で、その流れをせき止めたり、流れの変更をもたらしている"石”を取り除きにいくということ。
何もなかった“ふり”をしていくか、そうした問題の根源と向き合いながら、一から自分や自分の人生を作りなおしていくか。
今週のキーワード
人生を変える勇気