おうし座
まっすぐに相手を見ない
サイコパスとの付き合い方
今週のおうし座は、元FBI心理分析官ロバート・K・レスラーのごとし。あるいは、「話せばわかる」という幻想を捨てていこうとするような星回り。
FBI行動科学課の主任プロファイラーとして数々の事件の解決した人物として、またハヤカワから1994年に刊行された『FBI心理捜査官』の著者として日本でも一気に名を知られるようになったのがロバート・K・レスラーでした。
彼はだいぶ変わった人物だったようで、例えばレスラーの弟子で映画『羊たちの沈黙』のクロフォード主任捜査官のモデルとなったジョン・ダグラスであれば、連続殺人鬼と直接面談すれば「おっかないなあ」と常人同様に思う訳なんですが、レスラーの場合はそうではない。いっさい動揺しないんですね。そして連続殺人鬼の方でも、レスラー相手だとよくしゃべる。これはどうしてかというと、彼は自分の感情を乗せて人と付き合わないということが突出してできる人だったと言われています。
普通の人であれば、どうしても内面の話を引き出そうとしたり、自分自身の内面も話したりする中で、ある程度信頼や情で繋がっていこうとするし、だからこそ話が通じなければこっちが悪いんじゃないかと悩んでしまう。その点、連続殺人鬼のような純粋なサイコパスだったり、現代社会で数が増えているいわゆる“欠落的なサイコパス”というのは、とにかく「人を操りたい」「利用してやろう」といった考えが優勢ですから、レスラーほどではなくても、相手の個別性を尊重して入れ込む代わりにパターン認識的に付き合っていく必要がある訳です。
その意味で、9月4日におうし座から数えて「穴」を意味する8番目のいて座で上弦の月(行動の危機)を迎えていく今週のあなたもまた、どこか抽象絵画や宗教画を見るような感覚で人と付き合ってみるといいでしょう。
業病を脇に置く自由
なぜそんなものを抱え込んでしまったのか人に上手く説明できず、自分でもいまだ納得できないような厄介なものを、「業病」と言い表すことがありますが、たとえば聖母マリアにとっては<聖母>という役目や名称もまた業病のようなものだったのかも知れません。
実際、それは逃れようとしても逃れられない病気のようなもので、治す治療法も薬もなく、それをそれとして受け入れ、なんとか付き合っていくしかありません。ただそれはそれとして、いったん業病を脇において別のことに目を向けたり、背を向けていく自由が与えられているのも人間であるはず。
キリスト教では、聖母マリアを性的に見ることはタブーであり、絵の場合、一般的には乳房は衣に包まれていなければならないとされていましたが、16世紀には「授乳のマリア」という題材はよく描かれていたようで、すなわちマリアが性的であるということもまた、そうした自由な人間を生きることの表現に他ならなかったのだと言えます。
今週のおうし座もまた、誰にも描かれていないマリアを自分の脳内に思い浮かべいった画家たちのように、業病の部分は脇に置いて誰か何かと相対していくことがテーマとなっていきそうです。
おうし座の今週のキーワード
「個別性を尊重」と「パターンの認識」