おうし座
啓示の感受
多様な「言の葉」
今週のおうし座は、「葉ずれみな言の葉となる五月かな」(堀本裕樹)という句のごとし。あるいは、人が受け取らないようなところから啓示を受け取ろうとしていくような星回り。
五月の明るい緑には、一瞬で見る者を高揚させるような特別な輝きがありますが、掲句の場合は、作者の故郷である熊野のあおあおと茂った森がその舞台となっています。
今にも草木がしゃべりだしそうな新緑の季節には、葉擦れさえもがそのまま言葉となってしまう。「葉」という字は「すべての薄いもの」の意味に用いられ、いっそうの舟を一葉と言い、また世代の意味にも使われますから、「言の葉」と言ってもそれは取るに足らないわずかな言葉から世代ごとに共有されている合言葉のようなものまで、じつに多様な「言葉」がそこに含まれている訳です。
そして、「葉ずれ」が起きるためには必ず風が吹かなければなりません。強く吹きつけるような風、弱くささやくような風、それらが通るたびにさやさやと揺れる緑の葉。それはある種の魔術的な幻想であると同時に、見る者の感受性や実力によって可能となるアート(技芸)でもあるのだと言えるのではないでしょうか。
週明け5月11日に、おうし座から数えて「自己開示」を意味する9番目のやぎ座で、土星の逆行(常識の反転)が起きていく今週のあなたもまた、強固な自我の垣根を超えて自身の感性をおおきく開いていけるかどうかが大いに問われていきそうです。
視点の高度をあげる
たとえ外で雨が降っていようが、いまこれを読んでいるのがコンクリートに囲まれたマンションの一室だろうが、今週は一日のうち必ず一度はとにかく外へ出て30秒でもいいので空を見上げてみることをお勧めします。というのも、狭い視野に閉塞している限り決して啓示は降ってこないから。
「雲は知っていない、
なぜ、この方向に
このスピードで動いていくのかを
知らない。
しかし、空はすべての雲の秩序を把握している。
君達にもそのことがわかるだろう。
地平線の向こう側が見える程の
高みに立った時には。」
(リチャード・バック、『イリュージョン』)
空を見上げながら、ゆったりとした気分で心の中から「雲」を見つめてみる。ひとつの「雲」もまた一枚の「葉」に過ぎず、雲の集まりはざわめく言の葉に他ならないのだと、想像してみてください。うまくいけば、あなたは空に浮かぶ雲から、これまで聞いたことのない言葉や声を感じとっていくことができるはず。
今週のキーワード
メタ認知能力の向上訓練