おうし座
安らかにあるということ
一息ついた先で
今週のおうし座は、「泉への道遅れゆく安けさよ」(石田波郷)という句のごとし。あるいは、自分や自分の身体に心から仕えていくような星回り。
作者は当時不治の病であった結核から奇跡的に生還したものの、その肺活量は小学生並みになってしまっていたそうです。掲句はそんな生還後に作られた句で、おそらく仲間たちと吟行に出かけていたのでしょう。
3月に天王星がおうし座入りしてから先週の金星の天王星通過を最後の頂点として、ここのところある種の狂騒状態が続いていたおうし座の人たちも、今週21日に太陽がふたご座へ入ることでやっと一息ついていきそうです。
その意味で、程度の差こそあれ掲句を詠んだ作者はいまのあなたとパラレルな状況にあったのだと言えます。
ひとり遅れて泉への下り道を歩いていく。ゆっくりゆっくり、それでも苦しくなって立ち止まる。思わず空を仰ぐと、明るい木漏れ日が差しこんでおり、鬱蒼と茂る緑の濃厚な空気を鼻の奥まで吸い込む。ついこないだまでいたはずの静かな病室とのあまりの違いに、生きてるんだなあと実感する。そのなんとも安らかなことよ。
遅れて歩くということは、ここでは「落伍」を意味しません。むしろ、人を、そして自分を信じて後から付いていく気分が意外なほど豊かなものであることに、作者も改めて驚いているはずです。
今週のあなたもまた、今あなたが持ち得ている豊かさを目一杯感じていくといいでしょう。
ジョッキーのできること
最終カーブを曲がった後の最期の直線において、馬にどれだけ余力が残っているかに拘わらず、ジョッキーにできることは可能な限り「馬の邪魔をしないこと」なのだと言います。
ジョッキーと馬の関係は、あなたの中のエゴとエゴ以外の純粋な部分との関係であり、いいゴールを切るとは、「ケリをつける」ということでもあります。 馬の走りを邪魔するのは、ジョッキーの気負いや恐れ、疑う気持ちやイカサマ心。
今週のあなたもまた、そんな余計なものは息ととともにすっかり吐き出してしまいましょう。大丈夫、リラックスして、何かに突き動かされている身体のことを信じてあげること。
「馬」は同時に、あなたの自由、美、そして高貴さの象徴。最後の直線を駆け抜けるラストスパートでは、あなた自身の「馬」が最高に解放されることをただ祈ってあげられるかが問われてくるはずです。
今週のキーワード
ケリをつける