おうし座
柔らかな接触を求めて
燃え盛る火としての童心を
今週のおうし座は、心に天使と悪魔を同時に抱いていくような星回り。あるいは、良い人間か悪い人間か、勝ち組か負け組か、そうした二者択一の向こう側に第三の選択肢を見出していくこと。
例えば子どもの心というのは天使でもあると同時に悪魔でもありますが、アリストテレスなどは著書の中で「子どもの心は火である」と述べています。
これは占星術の基本概念でもあるエレメント(すなわち火・土・風・ 水の四つの元素)のうち、火はもっとも精妙なエレメントであ り、燃え盛り上昇していく力として位置付けられている。
この「精妙」というのはただ単に軽いという意味ではなくて、重さを持つほどに凝固することなく、形を持つほどに一定ではないほどに自由であるということ。
悪魔のように勢いよく燃え盛りつつ、天使のように精妙に自由であるように。
それはいて座木星期に入って最初の満月を迎えていく今週のおうし座にとって、大いに指針となっていくはずです。
天使性の本質としての笑い
生後間もない幼児の天使性が最大になる瞬間は、間違いなく彼らが顔に微笑みを浮かべた時でしょう。
心理学者のスピッツは、そうした彼らの微笑みがどこから出てくるのかを「アナクライズ」という概念を使って説明しようとしました。
生後間もない幼児はお母さんの身体的な温かさやお乳を求めて、お母さんに向かって近づいていきます。そして、自分のくちびるがお母さんの乳房に接触した瞬間に、彼らは表情に笑みを浮かべる。
スピッツはこのプロセスの始まりを、子供が母親の胎内にいたときに与えられていた条件が、外界に出たときに「欠けた」と認識した瞬間に求めます。
幼児が泣くのは、その不快感を表現するためであり、その不快感を原動力にして元の状態を回復しようと、母親の方へと自分の欲望を向けていく。この幼児の呼びかけを「アナクライズ」と呼んだのです。
幼児の欲望は、母親の乳房という言わば柔らかいクッションボードに接触した瞬間に、四方に波動となって広がっていく。そしてこの波動の広がりを、幼児はあの笑いに変換しているのだとスピッツは考えました。
あの無垢な天使の微笑みは、不快感を原動力にした回復への欲望に端を発するものであり、それは彼らの負った運命的な欠損に対する反動でもあった。
これほど純粋な動機はないでしょう。そしてもしかしたら、今のおうし座が求めている体験とは、こういうものなのかもしれません。
今週のキーワード
金星体験