さそり座
前向きの諦観
客観的に自分を見ていくこと
今週のさそり座は、「疲労困ぱいのぱいの字を引く秋の暮れ」(小沢昭一)という句のごとし。あるいは、より深い部分のリアリティーへと潜っていくために、自分を「客観視」していくような星回り。
作者は著名な物書き。きっと「こんぱい」の項目を、疲労困ぱいの体を引きずりながら辞書で引き、「困憊」と書こうとして更に「困ぱい」したのだろう。そんな孤独な原稿書きの身に、秋の夕暮れの寒さはことさら堪える。
しかし、そうすることでしか進めない道があり、そこを通らずにはなにかを形にできない世界なのだ。いまさら引くに引けない道を、いまのさそり座のあなたもまた、歩み始めてしまっているのではないでしょうか。
そうだとするならただ体を引きずっていくのではなく、そういう自分の姿をどこかで突き放して見れるところまで、突き抜けていくことが大切なのかもしれません。それを「前向きの諦観」と呼んでもいいでしょう。
汚泥の蓮華
仏教の教えの中に、「蓮華は汚泥の中に咲く」という言葉があります。泥とは欲望であり、欲望がなければ蓮華も咲きはしない。この世は時にどぶのように苦しい世界と感じられるかもしれません。
しかし、どぶに落ちても、それを正しい方へと肥やしにできる人は、いつか蓮華を咲かせるのです。
なんとなく「まみれる」ことを避けたい気持ちが出てきたら、いずれ自分のもとに咲く蓮華のことを思いましょう。ひとしきりそのイメージを描いたら、改めて汗やほこりとともに、泥にまみれていくべし。
今週のキーワード
離見の見