さそり座
生活の知恵のその先へ
まず実際の研究から始めよう
今週のさそり座は、「若い科学者」になりきってみよう!あるいは、みずから体を張って気になる身近なテーマを実験・検証していこうとするような星回り。
アリ研究の第一人者にして「社会生物学」「進化生物学」分野の創設者である生物学者E・O・ウィルソンは、『嘘と孤独とテクノロジー』の中で、若い人に向けて今後どのような教育が推進されるべきかという質問に対し、サイエンス(S)、テクノロジー(T)、エンジニアリング(E)、数学(M)をまず勉強させるアメリカを中心とするSTEM教育システムをあげ、「これは間違っている!まったく逆なんです!」と批判しつつ、こう続けています。
大学に入る前のこの時期こそ、「若い科学者」が生まれるのです。(…)その際に、最も適した場所の一つはフィールドワークです。自然世界に対して興味と好奇心と情熱が自然に沸き起こってきたら、あとは簡単です。(…)基礎の部分にたくさんの時間を使うのは無駄です。順序を逆にして、まず実際の研究にとりかかる所から始めたほうがいい。
例えばそれは、ある昆虫が絶滅してしまうとそれがどんな波及的効果を環境にもたらすのかとか、自身の暮らしている範囲の自然環境を健全に維持していくためには一体どれくらいの種類の生物に関与してもらう必要があるのか、といったことでもいいでしょう。
15日にさそり座から数えて「習慣」を意味する2番目のいて座で下弦の月を迎えていく今週のあなたもまた、自分なりの経験則や体感を真の「生活の知恵」へと掘り下げるために、いま自分には何ができ、何に興味があるのか、改めて明確にしていくべし。
賭けに出る感覚
先の本のなかで、ウィルソンはインタビュアーが提示した「われわれは100~200年後には自らを崩壊させてしまうか、もしくはテクノロジーを使って、高度な知能を備えたほぼ無機的な「ポストヒューマン」に進化していくのではないか」というビジョンに、おおむねのところで賛同しつつも、特に若い人へのメッセージとして次のようにも語っています。
地球上の生命体についての実態、「生物とは一体何か、どこから来て、どれくらいの数存在するのか、どんなメカニズムで全体がまとまっているのか」について研究はまだ始まったばかりで、これから(…)大いに注目され推進されサポートされるべきなんです。
優れた科学者の閃きというのは、どこか「賭博」に似たところがあります。そういう勝負の瞬間というのを、仕事であれ人付き合いであれ、毎回必ずどこかに入れられる人というのは、なかなかいません。
だから、もし今週あなたが、一度でもそういう瞬間に立てたのなら、自分をほめてあげてください。あるいは、そういう勝負をこれまでも何度かしてきたのだとすれば、それなりの経験を積んできたのだと自負する資格はすでに十分にあるはずです。
さそり座の今週のキーワード
「生物とは一体何か、どこから来て、どれくらいの数存在するのか、どんなメカニズムで全体がまとまっているのか」